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大阪府医師会フォトギャラリー
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大阪府医師会フォトギャラリー
フォトギャラリーでは、会員のみなさまの作品を紹介しています。
スマートフォンで撮影されたお写真でも結構です。
四季折々の美しい風景や名所など、投稿をお待ちしております。
※クリックで拡大します。
撮影者:伊藤一男(阿倍野区医師会)
撮影機材:ニコンD100
撮影場所:京都市山科・勧修寺
「アジサイ」は日本原産のユキノシタ科アジサイ属の落葉低木です。その名は、青い花が固まって咲く様子を集真藍(あずさあい)と呼んだことから来ています。
あじさいは万葉の時代から自生していた落葉低木で、「万葉集」にはあじさいの歌が二首あります。その一首は咲きながら色が変わっていくあじさいの特徴を移り気としてとらえた歌があります。
紫陽花の花言葉は「移り気、浮気、冷酷……」。
このように変わり花といわれるこの花を萩原朔太郎は「こころ」という詩で「こころをばなににたとへん こころはあぢさいの花 ももいろに咲く日はあれど うすむらさきの思い出ばかりは せんなくて」と自分の心の変化にたとえています。
花二つ紫陽花 青き月夜かな 泉鏡花
梅雨上がり紫陽花の花の毬が二つ、青い月光を浴び、ぬれながら寄り添うが如く咲くその色、風情にどこか寂しげなイメージがあったのでしょう。
紫陽花は、丸い雪洞のような大きな花をいくつもつける身近な落葉低木です。6月上旬から梅雨のころ、雨にうたれても、ほかの花のようにうなだれることもなく、美しく咲きます。色彩が鮮やかで、葉の色とのコントラストが強いため、曇りの日や梅雨空でも目立つ花です。身近に見ることのできる平凡な花ほど、私達はその本来の輝きを見落としがちです。そんな花ほど、心を落ち着かせて眺めると、きっと新たな出会いを感じられるのではないでしょうか。
撮影者:伊藤一男(阿倍野区医師会)
撮影機材:ニコンD100
撮影場所:京都市山科・勧修寺
日本の装飾芸術を代表する琳派芸術もまた、人工的に作りだした幾何学的な文様などはなく、みな自然の姿をデザイン化するところから始まっている。すなわち琳派の特徴は、形態の簡素化、変形、パターン化といった造形面の特徴が際立っているが、その造形の基にあるものはすべて自然の持つ形態である。自然が持っているリズムやパターンを鋭い感性で見抜き、造形化するのである。
またリズムやパターンという言葉がキーワードとなることで分かるように、心理的な心地よさを誘うという意味では、装飾芸術はきわめて音楽的だということができる。
撮影者:伊藤一男(阿倍野区医師会)
撮影機材:ペンタックスiSTD
撮影場所:京都府向日市鶏冠井町大極殿跡公園
桜のように、たった1、2日でたちまち消えてしまう花も、写真ゆえにその残像を留めることができる。もっとも桜のあの見事な花の姿が、うたかたのように消えてしまうところに本来の美がある。心の中にほのかに残る、「まぼろし」にこそ、桜花の魅力の本質があると言えないこともない。
写真の桜は、桜の「絵」であって、桜そのものではない。つまり、桜へのイメージなのである。写真に写された風景は、現実そのものとは違うのである。風景表現とは、撮影者が肉眼で見つめた事象を、カメラレンズを通して、「新たなる美」を生み出す行為であると思われる。
さまざまなこと思い出す桜かな 芭蕉
沸き起こる様々な想い出に浸りつつ、美しい満開の桜に対していると、その桜の花びらは薄く、それ自体がまるで遠い記憶の一つひとつに見えてくる。
撮影者:伊藤一男(阿倍野区医師会)
撮影機材:ペンタックスistD
撮影場所:京都市北区上賀茂本山・大田神社
1)よりそひて静かなるかなかきつばた 高浜虚子
2本の杜若がそっと寄り添ったまま時間が暫し止まってしまったかのようだ。ここで描かれているのは確かに杜若であるが、「よりそひて」しかも「静かなるかな」とあると、おのずから2つの花に2人の人の姿が重なる。
2)朝々の葉の働きや杜若 去来
「葉の働き」とは葉の動き、朝風に杜若の葉がそよいでいるのだろう。ただ、「動き」といわず「働き」というと生きて動いている感じがする。杜若の花の美しさは葉の美しさでもあることをよく知っている人の句である。
3)杜若べたりと鳶の垂れてける 蕪村
この句は明らかに岩絵の具を塗り重ねた障壁画だろう。「べたりと鳶の垂れてける」。黄土や辰砂や紺青や・・・金箔の上に盛り上がる極彩の岩絵の具が思い浮かぶ。そして光琳の「燕子花図屏風」にべたりとへばりつく鳶の糞の絢爛たる幻が心をよぎる。
撮影者:伊藤一男(阿倍野区医師会)
撮影機材:ニコンD100
撮影場所:奈良市春日野町・万葉植物園
長い花房を枝垂れて咲く藤の姿は、この上なく優美で艶やかに見えます。
「これ(明石の媛君)は、藤の花といふべからむ。木高き木より咲きかかりて、風になびきたるにほひは、かくぞあるかし」と「源氏物語」の一節にも、気品高い女人の匂うような美しさだと讃えています。
しかし、藤の本質は獰猛さにあるのではないかと思えるのです。木々に絡みつきながら高みへ高みへと枝を伸ばし、絡みついた木を殺してでも生き延びる藤蔓は、さながら蛇のように動物的で攻撃性があります。長い花房から放つ香りは官能的なほどの強さで虫をたくさん集めます。
一見、嫋嫋と見えるけれど、じつは強靭な蔓から生まれた剛を内側に秘めている。……藤原氏を象徴してきただけの強さを抱え込んだ花だと思います。
撮影者:伊藤一男(阿倍野区医師会)
撮影機材:ニコンD100
撮影場所:大阪市北区中ノ島公園・薔薇園
正五角形の一辺と対角線、対角線によって区切られる二つの線分について、それぞれが1対1.618となり、この割合がもっとも美しいとされる黄金分割と言われています。
これと関係するのが五芒星です。軍隊のマーク、国旗などにみられ、セーマンとも呼ばれて「お守りの印」にもなっています。この幾何学模様は何からヒントを得たのでしょうか。
バラの花が浮かびます。バラの造化の妙を抽象化した美学が、ギリシャ以来の黄金比となったのではないでしょうか。しかし造化の妙ともいうべき花から五角形という図形を導き出した抽象能力は明らかにギリシャ的知の所産であって、その知性に頭の下がる思いがします。
そして花の中に星を幻想した想像力にも胸を衝かれます。当初、美しいと思った星形が後々力の象徴となった経緯……。
美が力だという思想がまた素晴しいではないかと思った次第です。