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時事

第12回新たな地域医療構想等に関する検討会

府医ニュース

2024年12月18日 第3093号

医師偏在是正について協議

 令和6年11月20日、厚生労働省「第12回新たな地域医療構想等に関する検討会」が開催され、医師偏在是正対策について協議された。基本的な考え方(案)として、地域ごとに人口構造が急激に変化し、地域や診療科の医師配置の不均衡が拡大しかねない状況で、総数の確保から適切な配置へと重心をシフトしていく必要があり、若手医師を対象とした医師養成課程中心の対策から、すべての世代の医師へのアプローチが求められる。人口減少が進む中で「保険あってサービスなし」という事態に陥る可能性があり、すべての関係者が協同して医師偏在対策に取り組むことが重要とされた。事務局から提示された各案に対し構成員から様々な意見が取り交わされた。
 ①医師偏在是正プラン・重点医師偏在対策支援区域について(案):早急に取り組む地域の対策として、優先的かつ重点的に対策を進める区域を「重点医師偏在対策支援区域(仮称)」として定めることとしてはどうか(医師偏在指標が最も低い二次医療圏、医師少数県の医師少数区域等)②医師少数区域等での勤務経験を求める管理者要件の対象医療機関の拡大等(案):医師少数区域等での勤務経験を求める管理者要件の対象医療機関の拡大(公的医療機関、国立病院機構等)、勤務経験期間の現行の6カ月以上から延長しては→若手医師は管理者就任を望まないケースあり、勤務経験も数カ月の短い期間の積み上げも考慮しては③外来医師多数区域における新規開業希望者への地域で必要な医療機能の要請等の仕組みの実効性の確保等(案):外来医師過多区域における新規開業希望者に対して、開業の一定期間前(例えば3カ月前等)に、提供する予定の医療機能等を記載した届出を求めた上で、当該届出の内容等を踏まえ、地域の外来医療の協議の場への出席を求め、地域で不足している医療機能の提供や医師不足地域での医療の提供を要請することができることを医療法に規定することとしてはどうか。要請に従わない場合に勧告、公表を行う、保険医療機関の指定期間を6年から3年とすることも検討→開業3カ月前の協議は遅すぎる。厳しい条件だと導入前の開業ラッシュが起き、地域医療がゆがむ可能性あり、憲法上の問題、営業の自由もあるため難しい④経済的インセンティブについて(案):重点医師偏在対策支援区域で承継・開業する診療所に対する支援や医師を派遣する派遣元医療機関に対する支援を行うこととしてはどうか。患者負担の過度の増加を招くおそれがあるものについて、すべての被保険者に広く負担いただくよう保険者からの拠出を求めることとしてはどうか→保険料を財源とするには社会保障審議会医療保険部会でも議論されるべき。経済的インセンティブ以外にワークライフバランスのため休暇を保証する等考慮しては。医療を整備しても、過疎化を止めることはできない。撤退戦であることを明確にして対策を⑤全国的なマッチング機能の支援等、都道府県と大学病院等との連携パートナーシップ協定について(案):若手医師だけでなく中堅・シニア世代の意思を希望に応じてリカレント教育や現場体験につなぎ医療不足地域と全国的なマッチング機能の支援をしてはどうか。都道府県と大学病院等の連携パートナーシップ協定締結等様々な案が協議された。特に診療所開業規制については賛否が分かれることとなり、今後の課題が残された。(昌)