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医師・医療関係者のみなさまへ
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府医ニュース
2024年5月15日 第3072号
4月度郡市区等医師会長協議会(令和6年度第1回)が4月26日午後、大阪府医師会館で行われた。本文は高井康之会長あいさつ(要旨)。
新型コロナウイルス感染症については小康状態であるが、これから夏にかけて感染者数が増加するという予測もあり、次の感染拡大に備えていくことが肝要だ。次に、能登半島地震に関しては平静を取り戻しつつあるが、依然北部は厳しい状況も残る。一方で、JMAT(日本医師会災害医療チーム)の調整支部が本部に集約され、現在は石川県医師会に移されている。3月末の日医代議員会で、安田健二・石川県医師会長から、支援への謝辞と「そろそろ出口を探るべきではないか」との話があった。それらを踏まえ、大阪府医師会としてはJMATの派遣を4月末で一旦区切りを付けたい。医師、看護師、薬剤師、事務員等、42チーム362人の協力に深く感謝申し上げる。今後は状況に応じて再調整していきたい。支援金でも多くの協力をいただき、1600万円余りが府医に寄せられた。全額日医に送金している。総額は5億6400万円に上るとのことで、松本吉郎・日医会長は「1日も早く復興できるように役立てる」と述べられている。
6年度が始まっているが、医師の働き方改革がスタートし、診療報酬改定も例年は4月であるが、今回は2カ月後ろ倒しで6月からとなる。今回の改定率は近年にないプラス改定となったが、医療従事者の給与に充てるというものだ。診療所に対してもベースアップの部分でプラスされるとのことだが、初診料6点、再診料2点で、月に換算すると、普通の診療所であれば1、2万円程度だと思う。そのために近畿厚生局への届け出や報告が必要であり非常に手数だと見ている。さらには特定疾患療養管理料が生活習慣病管理料Ⅱという新しい点数に移行するということで、診療所ではかなりの減収が予想されている。今改定はプラスと言いながら、診療所にとっては場合によってはマイナスになるということも考えられ、中央社会保険医療協議会(中医協)でもう少ししっかり対応していただきたかったと思っている。
4月に入り、来年の社会保障に向けて、財政制度等審議会・財政制度分科会で「春の建議」、経済財政諮問会議で「骨太の方針2024」の叩き台を議論している。その中では、社会保障関係費の抑制方針が明確に主張されている。この10年間、ほとんど勤労者の給与が上がらない状況であったが、着実に上昇に転じる一方で、社会保険料を含めた負担を抑えるべく、より一層社会保障、特に医療に対する抑制を行うというような方針を打ち出そうとしている。
最近は診療所の偏在、我々としては過剰と思わないが、大阪のように診療所の数が多いところと東北や日本海側のように過疎の地域との是正を診療報酬によって調整する考えだ。1点単価が異なる地域別の診療報酬、例えば大阪では診療所の単価を1点8円にして、2円分を過疎地域の診療報酬に充てるような案も財務省が出している。最近の報道では、武見敬三・厚生労働大臣も偏在対策について、今までは自由開業制であったが、それに規制を加えて調整するという方向性を表明している。
医療界にとっては厳しい状況が今後も続いていくが、日医と協力してしっかりと医療の現場の立場を訴えたいと考えている。ご理解を賜り、ご協力をお願いしたい。