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医師・医療関係者のみなさまへ

時事

任意であるマイナカード、非保持者に不便があってはならない

府医ニュース

2024年5月15日 第3072号

政府、保険証廃止を改めて言明
マイナカード推進と保険証廃止は違う

 4月18日の参議院厚生労働委員会で、武見敬三厚労相は令和6年12月2日に現行の「紙の健康保険証」の新規発行を停止、マイナンバーカードに健康保険証機能を持たせた「マイナ保険証」に一本化することを明らかにした。昨年すでに閣議決定されていた内容を改めて示した形である。
 今回の診療報酬改定でも、低迷するマイナ保険証の利用促進のためか、医療DX推進体制整備加算(初診時月1回8点)の施設基準の6つ目に「マイナンバーカードの健康保険証利用について、実績を一定程度有していること。(6年10月1日から適用)」が加えられた。
 この加算を積極的に利用しようとしている医療機関や処方箋薬局では、「保険証が廃止されるのでマイナ保険証を今から申請しましょう」と、非保持者に対して案内がされている。だが、これでは、マイナ保険証は皆保険制度上、資格確認として必須のものとして聞こえてしまう。事実、小筆の診療所では、マイナカードを保持していなければ、12月以降、診療を今まで通り受けることができないと感じた患者が少なくなかった。

非保持者には資格確認書を送付

 何度も指摘したが、マイナカードならびに、マイナ保険証の取得は任意である。政府は、未取得者への措置として、マイナ保険証を持たない人に資格確認書を一律で配るとしている。確認書があれば保険診療を受けられ、各医療機関も、従来の安定したオペレーションで行うことができる。マイナ保険証を推進するために、ユーザー(患者、医療機関など)に対して資格確認というバックアップを示すことは非常に大事で、これは評価できる。しかし、すべての資格者にバックアップを用意すれば、もっと使いやすくなるだろう。つまり、はじめの方針通り、オンライン資格確認においても保険証は廃止しないとすればよかったのだ(第118回社会保障審議会医療保険部会)。

マイナカードの保険証利用解除は10月から

 マイナ保険証を紛失、または、利用そのものがおぼつかない患者は必ず存在する。さらに、元々使用できていたが、疾病等により利用できなくなるケースも想定しなくてはならない。よって、資格確認書、つまり、従来の保険証システムでの受診方法がそういう方々には利便性と安心を提供できるだろう。
 一方、すでにマイナ保険証を保持している場合は、資格確認書の発行はされない。よって新たに資格確認書を得るためには、保険者に「保険証利用の解除」を申請する必要がある。これは6年10月から可能とされ、申請を受け付けた保険者は申請者に資格確認書を交付するとある。
 マイナ保険証の保持に対して不安な気持ちでいる患者に対して、時期が近付けば、資格確認書発行の簡単な手続き案内を院内に掲示することも大切なことだろう。利用実績に囚われず、皆が安心できるオンライン資格確認システムを望む。(葵)