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医師・医療関係者のみなさまへ

令和5年度医療安全推進指導者講習会

府医ニュース

2024年5月1日 第3071号

大平理事が医療事故調査制度を解説

 大阪府医師会では、大阪府の「医療安全対策指導者育成・研修事業」を受託し、大阪府病院協会・私立病院協会・看護協会の協力を得て「医療安全推進指導者講習会」を毎年実施している。令和5年度は、10月より月に1回の頻度で開催し、最終となる第5回が6年2月3日午後、府医会館で行われた。

 この日は、まず大平真司理事が、「医療事故調査制度」について語った。同制度は1990年代後半の患者取り違え手術や消毒剤点滴などの重大医療事故に端を発する。2008年には厚生労働省が「医療安全調査委員会設置法案(仮称)大綱案」を示すも、医師の刑事責任を追及する懸念が払拭できず、現在の制度が始まるのは6年後の医療法改正であったと振り返った。
 制度の対象となるのは、「医療に起因した、あるいは起因したことが疑われる死亡あるいは死産で、管理者が予期しなかった事例」だ。死亡事故が発生した際の具体的な流れを解説し、報告対象か否かの判断基準や、院内調査を実施する上での注意点を伝えた。また、「院内調査は、原因究明と再発防止を目的とした医療機関の学習のために行うべきであり、個人の責任を問うものではない」と制度の意義を強調。そのほか、府内医療機関を対象にした同制度に関するアンケート結果を紹介しながら、制度についての正しい理解を求めた。
 後半は演習事例を示しながら、対策のポイントを提示。航空機事故調査と対比しながら、原因を究明することの重要性を説いた。

パフォーマンスの高い組織へ

 続いて、畑埜義雄氏(畑埜クロスマネジメント代表)が、「これからのコーチング流マネジメント」と題して講演した。畑埜氏は大学病院を退職後、自身の教授および病院長としての経験もいかしながら、病院や個人へのコーチングコンサルを行っている。
 畑埜氏は、働きやすい組織づくりに向けては、リーダーシップ・マネジメントが求められるとし、必要とされるのは「静かで謙虚なリーダー」との見解を示した。また、心理的安全性を担保した上で、対話を深めることが重要だと指摘。上司や同僚が信頼され、メンバーがやりがいを持って働ける「パフォーマンスが高い組織」は、職場の人間関係を軽視した先には絶対に築けないと結んだ。

令和6年度同講習会は秋頃に開催予定

 府医では、令和6年度も「医療安全推進指導者講習会」を開催予定である。秋頃からの実施を検討しており、詳細は9月頃に本紙や府医ホームページで告知する。詳しくは、府医医療安全支援室(電話06―6763―7400)まで。