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医師・医療関係者のみなさまへ

近大医学部で高井会長が特別講義

府医ニュース

2024年5月1日 第3071号

医学生に医師会の役割などを説示

 高井康之会長は1月25日午後、近畿大学医学部に出向き、「第2学年プロフェッショナリズム/実習Ⅱ」において特別講義を実施。「医師会の役割について」をテーマとし、約120人の医学生が受講した。

 講義ではまず、西洋医学の源流から、大正5年に北里柴三郎氏を初代会長として大日本医師会が設立されるまでの歩みを概説した。今日の医師会でも北里氏の意志は受け継がれ、国民の生命と健康を守るために尽力していると強調。今年1月に発生した能登半島地震ではJMAT(日本医師会災害医療チーム)として多くの医師が全国から救護活動に向かったと述べた。また、日医・都道府県医師会・郡市区等医師会が団結し、行政などに提言や要請を行うカウンターパートの役割も担っていると説明。加えて、日医の医師賠償責任保険など医師のサポート体制などを伝えた。
 次に、日医の「医の倫理綱領」を紹介。臨床医の心がけとして、▽患者の立場に立った医療▽常に社会の動きを把握▽医師会活動への積極的参画▽セカンドオピニオンに躊躇しない――などをアドバイスした。さらに、医師法で定められた応招義務や患者の同意、守秘義務など、日常診療で注意すべき対応を解説した。
 続いて、保険診療の基本ルールや禁止事項を説示。保険診療は保険者と保険医療機関での「公法上の契約」であるため、必ず遵守しなければならないと強調し、指導・監査の対象となる事例にも言及した。また、日本の医療制度の特徴として、▽国民皆保険制度▽現物給付▽フリーアクセス――を提示。先進諸国に比べて低い医療費と平等な医療サービスの提供によって、世界一の長寿国と低い乳児死亡率を実現しているとし、引き続き堅持していかなければならないと述べた。
 最後に、臨床で困った時には、一人で抱え込まず周りに相談しながら医療に従事してほしいとし、医師会もぜひ活用していただきたいと結んだ。