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第11回東大阪市多職種連携研修会全体会

府医ニュース

2024年5月1日 第3071号

サービス担当者会議の重要性を考える

 2月24日午後、東大阪市内で令和5年度第11回多職種連携研修会全体会が開催された。この会は、東大阪市の22カ所の地域包括支援センターごとに開催されている多職種連携研修会の1年間の総まとめとして開催しており、今回は会場とウェブのハイブリッド形式で約200人が参加する盛大な会となった。
 今年度のテーマは「多職種連携の上でサービス担当者会議の重要性を考える」。多職種連携を円滑に進めるために職種間のコミュニケーションが重要であることは言うまでもない。その第一段階は、患者および家族を含めたすべての職種が一堂に会する「サービス担当者会議」だが、いまだ有効活用されているとは言えない。サービス担当者会議の意義を再確認し、どうすれば実のある会議にできるか、実例を共有しながら考える機会になることを目的として開催された。
 講演に先立ち、五島淳・枚岡医師会長より開会あいさつ。高齢化が進んでいる現状で病院から在宅で生活を継続するには医療と介護の連携が必要であり、多職種が顔の見える関係を築く研修会が重要であると説いた。次いで、宮野英子氏(東大阪市福祉部長)が登壇した。同市では、地域包括ケアシステムの構築に取り組んでいると明言し、在宅での医療介護提供体制の整備が大きな柱の一つと強調。東大阪市三医師会をはじめ各関係機関協力の下、積極的に取り組んでいると述べた。
 第1部では「サービス担当者会議とは」と題し、行松孝祐氏(ケアプラン新)と岩﨑剛和・同医師会理事が講演を行った。行松氏は、「サービス担当者会議はケアマネジャーに義務付らけれており、新規ケアプラン作成時や要介護認定更新時だけでなく、状態が変化した時など臨機応変に開催しなければならない」と指摘。利用者や家族が望む生活を作り上げていくためにケアチーム(歯科を含む主治医・薬剤師・ケアマネ・訪問看護師・訪問介護士・デイサービス担当者・理学療法士・介護用品業者・入浴支援業者など関わるすべての職種)全員で話し合うことが重要であると語り、実際の会議の流れを紹介した。岩﨑氏は、サービス担当者会議への主治医の参加が少ない現状を憂慮。医師の参加によって、その後の連携が円滑に進むと強調した。その上で、両氏より医師も出席しやすい時間帯や場所での会議を設定するよう提案がなされた。
 第2部では、山原円氏(ケアマネジャー)、上田泰子氏(ケアマネジャー)、村山真弓氏(看護師)より、それぞれの視点からサービス担当者会議の事例や実際の場面が発表された。その後、現地参加者は22の地域包括に分かれグループワークを実施。サービス担当者会議の経験談などを共有した。討議後のグループ発表では、多くの職種に参加してもらうための工夫やSNSを活用した開催方法にすることで医師等が参加しやすくなった事例が示された。
 コロナ禍を経て4年ぶりの対面によるグループワークは盛況であり、充実した時間であったことが参加者アンケートの満足度に表れていた。
 最後に、森重人・同医師会副会長が、サービス担当者会議の重要性やハラスメント対策に言及したほか、フレイル防止に向けた管理栄養士参加の必要性を指摘し、閉会となった。

報告・写真 枚岡医師会