TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

HIV地域医療連携研修会

府医ニュース

2024年4月24日 第3070号

ケアを含めた「地域での連携」重要に

 大阪府医師会は大阪府からの委託を受け、令和5年度「HIV地域医療連携研修会」を1月19日午後、府医会館で開催した。今回はオンラインを併用し、会場と合わせて約60人が聴講した。

 研修会は福田弥一郎氏(府医感染症対策・予防接種問題検討委員会委員)が座長を務め、はじめに宮川松剛理事があいさつ。HIV感染症への関心の低下が懸念されるが、正しい知識の普及・啓発は必要であり、本研修会がHIV対策の円滑な推進、医療環境の整備につながればと期待を寄せた。
 引き続き、白阪琢磨氏(同委員会委員長、大阪医療センターHIV/AIDS先端医療開発センター特別顧問)が、「HIV感染症で期待される病診連携と新たな課題」と題して講演した。まず、HIV感染症は治療の進歩により「慢性疾患になった」と言及。治療が良好(ウイルス量が200コピー/ミリ㍑未満)であれば、「HIVはうつらない」と強調した。
 また、治療の進歩により陽性者の平均余命は非感染者と同程度となり、「通院患者数が増えている」と指摘。生活習慣病や悪性腫瘍、精神疾患等の診療ニーズが年々高まっており、診療体制の再構築が課題との認識を示した。
 最近のトピックとしては、「PrEP(曝露前予防内服)」を紹介。現在、未承認であるものの性行為によるHIV感染は99%防げるとした。白阪氏はエイズに対する偏見や差別をゼロにしたいと力を込め、「正しい知識を伝えることが大切」と語った。
 最後に米国のHIV陽性者の合併症数の推移などを提示。長期療養に向けて地域での支援体制の確立が求められるとした。その上で、ケアを含めて病院・診療所の介入が一層重要になると述べた。