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医師・医療関係者のみなさまへ

勤務医部会活動報告

第8~11ブロック合同懇談会

府医ニュース

2024年4月24日 第3070号

 令和5年度大阪府医師会勤務医部会第8~11ブロック合同懇談会を2月1日夕刻に開催した。「産婦人科医の働き方改革」をテーマとし、りんくう総合医療センター産婦人科部長の荻田和秀先生に「医師の働き方改革――大阪府下産科医療機関の取り組み」と題して講演いただいた。
 南大阪病院にもかつて産婦人科医が勤務していた。当院の産婦人科が閉鎖された後、住吉市民病院が大阪市南部の産婦人科医療を担っていた。当時の舟本仁一院長は、年間10数人の未受診妊婦などが緊急で受診することを嘆いておられた。そんな中、医師の働き方改革が進められ6年4月に開始される。
 冒頭、日本の出生数は110万人(平成16年データ)、産婦人科医は7千人で、出生数417万人、産婦人科医2万9千人のアメリカに比し、産婦人科医の労働時間はあまり変わらず、日本の周産期死亡数が10万人当たり3.5と世界中で最も低い値で、日本ではお産が極めて安全に行われていることを示された。大阪府下にはOGCS(産婦人科診療相互援助システム)やNMCS(新生児診療相互援助システム)が整備されているが、約20年前には周産期医療崩壊の危機があった。ハイリスク妊婦、広域搬送、外国人医療、コロナ禍など、その後も多くの課題が生じ対応してきた。
 りんくう総合医療センター産婦人科は、年間一次救急2千件、二次救急180件、三次救急45件を応需しているが、正常分娩でも帝王切開でも、入院や、ましてや手術になると1件に数時間を要する。同医療センターと市立貝塚病院の産婦人科が合併し、産婦人科医20人となった。産婦人科医療を機能分担し、同医療センターは夜間の産婦人科医療を担い、2人当直体制にして、夜間の手術にも対応できる体制になった。未受診妊婦30件/年、直腸脱陥頓の高齢女性、院外心停止の若年妊婦など、時に総勢40人で治療にあたり、救急医療を支えている。
 宿日直許可を取り医療を維持していくが、時間外労働時間がA水準だけでは不十分である。大阪府下には分娩施設が121施設あり、当直医がいるが、すべて宿日直許可を取っている訳ではない。宿日直許可を取った病院でも業務内容は変わっていない場合もある。
 周産期医療の課題解決案として、①外勤医師の導入②宿日直許可の取得③タスクシフト④チーム医療⑤集約化――を挙げられたが、医師としては、その仕事がやりがいのある仕事であることが支えであると述べられた。

11ブロック世話人/南大阪病院名誉院長 宮越 一穂