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医師・医療関係者のみなさまへ

かかりつけ医等発達障がい対応力向上研修

府医ニュース

2024年4月17日 第3069号

多様な症状、特性に配慮した診療を

 大阪府医師会は大阪府と共催し、かかりつけ医等発達障がい対応力向上研修を2月4日午後、府医会館で開催した。本研修会は大阪府の委託を受け令和元年度より実施しており、今回で5回目となる。当日はウェブとの併用により、約140人が参加した。
 冒頭、中尾正俊副会長があいさつ。発達障害は乳児期だけでなく、学童期や成人期になり発覚するケースも多いと述べ、その症状も様々であると指摘。かかりつけ医が相談を受けることも多いとして、発達障害への理解を深めてほしいと本研修会の意義を伝えた。
 はじめに、筒浦康正氏(大阪府福祉部障がい福祉室地域生活支援課参事)が、「府の発達障がい児者支援施策――発達障がい児者支援における医療と福祉の連携を中心に」と題して講演した。筒浦氏は発達障害の定義を説示し、支援に関する様々な施策を列挙。乳幼児期から老年期までのライフステージに応じた支援や早期発見のための取り組み、家族支援についても解説を加えた。その上で、相談や診察の機会が多いかかりつけ医が発達障害を理解し、特性に配慮した診療や専門医療機関との連携などを行うことが早期支援につながるとして、その役割に期待を寄せた。
 続いて、「発達障がい診療の勘どころ――ゲームの対応も含めて」と題して、鍋谷まこと氏(淀川キリスト教病院統括副院長)が登壇。発達障害は外からは見えにくく、心身症や不登校、非行などの二次的な問題に隠れやすいと指摘した。また、乳幼児や学童期、思春期それぞれの発達障害を疑う症状を提示。家族が抱く不安への対応についても実例を示した。
 さらに、(オンライン)ゲームやSNSとの関連性や依存についても説述。やり過ぎると誰もが依存になるわけではないと述べ、「子どもとゲームやネットについて話ができる関係を維持すること」が求められるとまとめた。