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医師・医療関係者のみなさまへ

在宅医療における災害対策研修会

府医ニュース

2024年4月17日 第3069号

BCP策定に係るポイントなど解説

 大阪府医師会は1月27日午後、大阪府在宅医療総合支援事業の一環として、在宅医療における災害対策研修会を開催。府医会館とウェブの併用で行われ、約200人が参加した。

 冒頭、中尾正俊副会長が開会あいさつ。令和6年能登半島地震で被災された方々に、心よりお見舞いを申し上げるとともに、日本医師会との連携の下、医師派遣等の支援に尽力すると語った。また、6年4月からBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の策定・災害発生等を想定した対応の研修および訓練の実施などが義務化されるため、本研修会の内容を今後の取り組みにいかしてほしいと述べた。
 続いて、塚本雅子氏(府医介護・高齢者福祉委員会委員/サギス中クリニック院長)が座長を務め、山岸暁美氏(コミュニティヘルス研究機構長・理事長/慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室)が「地域BCPのススメ――スタッフ、患者、利用者そして住民のいのちと生活を守る」と題して講演。まずBCPとは、有事の被害を最小限に留めて医療やケア等の業務の継続、早期復旧を図るための計画と説明。また、BCP策定により、Preventable Disaster Death(防ぎ得た災害関連死)の約半数を阻止できる可能性があるとの報告を紹介した。さらに、ヘルスケア領域のBCPでは、▽発災後、需要が高まり、かつ緊急性がある▽時間とともに需要が変化する▽自機関の業務継続が患者・利用者・住民の命や生活の継続に直結する――などを考慮して作成することが求められると指摘。加えて、平時から有事対応について検討し、選択肢を増やすことが大切と強調した。
 次に、在宅医療・ケア提供機関のBCPに言及。各機関での策定過程で、地域の組織間で協力しないと解決できないことや、協力することで限られた資源を有効に活用できることが峻別されてくると説示した。地域連携によってそれぞれの機能を補完できるように備え、さらには地域を面として捉えて、医療やケアの継続について考える「地域BCP」の策定を促した。そして、「有事において限られた医療資源を最大活用するために重要なツール」であり、地域の総力戦を可能にするとの見解を示した。