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将棋部だより

3月例会の成績

府医ニュース

2024年4月17日 第3069号

将棋は最終盤が面白い

 3月17日に今年2回目の例会を、大阪市中央区谷町の大阪府社会福祉会館で開催した。小雨が降ったが暖かくて、「春になる桜の枝は何となく花なけれどもむつまじきかな」という西行法師の歌を思い出した。
 「人生は2度と繰り返せない。だから我々の存在は耐えられないほどに軽いのだ。無意味さこそが、我々の置かれた本来的な境遇なのだ」とミラン・クンデラは述べた。それで良いではないか、と栗木京子さんは、「ふうはりと身の九割を風にして蝶飛びゆけり春の岬を」と詠んだ。我々も2度と繰り返しては現れない局面を、考えて楽しむのである。
 参加者は12人だった。全員が沈思黙考して、難しい局面を見つめた。多くの者にとって最も面白いのは、終盤それも詰みがあるかどうかを読み切らなければならない最終盤だろう。将棋がスリリングなのは、ここで誤りやすいからだ。手島七段(和泉市)の勝率が高いのは、終盤で一瞬だけ訪れたチャンスを感知できて生かせるからだ。この日も2局は敗色濃厚だったが、相手のミスに乗じて逆転し、全勝優勝を遂げた。3勝1敗者は4人いて、規定により準会員二段が2位、東森五段(平野区)が3位になった。他の参加者は、松村六段(池田病院/東大阪市)、伊藤五段(野崎徳洲会病院/大東市)、濱田五段(東住吉区)、山中五段(福島区)、佐野五段(豊中市)、青谷三段(高槻市)、柿原三段(堺市)、準会員五段、準会員四段だった。
 「世の中は地獄の上の花見かな」と小林一茶は詠んだ。現在の世界情勢を予言したかのような句である。我々にとって花見とは、盤上で戦い芸に遊ぶことである。戦争にいつ巻き込まれるか分からない。それを承知の上で修行に邁進するのである。
 入部をご希望の方は、いずみがおかメンタルクリニックの手島(電話0725―56―2727)までご連絡ください。

報告 手島 愛雄(和泉市)