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時事

特定疾患療養管理料から3疾病除外

府医ニュース

2024年4月3日 第3068号

同意書、リフィル…変わる診療風景

 令和6年度診療報酬改定では、5年末の大臣合意で、診療報酬本体の改定率がプラス0.88%とされたものの、年が明けた中医協総会では、「生活習慣病を中心とした管理料、処方箋料等の再編等の効率化・適正化マイナス0.25%」と引き下げが盛り込まれた。特に地域医療を担う、ほとんどの診療所で影響があるのが、特定疾患療養管理料から「糖尿病、脂質異常症、高血圧」の3疾病除外である。その3疾病の診察料の受け皿となるべく、生活習慣病管理料(Ⅰ)、(Ⅱ)が用意された。
 この度、特定疾患療養管理料から、新設された検査を包括しない生活習慣病管理料(Ⅱ)への変更を、多くの診療所は検討すると思われる。その算定要件の中で、「許可病床数が200床未満の病院、診療所において、脂質異常症、高血圧症、糖尿病――を主病とする患者(入院患者を除く)に対し、患者の同意を得て治療計画を策定し、その計画に基づいて生活習慣に関する総合的な治療管理を行う患者の同意を得る」という項目がある。この同意書によって、信任という形で自然な流れの上で診療を開始していた、従来の「医師―患者関係」に大きな変容をもたらすであろう。
 次に、生活習慣病管理料(Ⅱ)の施設基準として注目すべきは、「患者の状態に応じ『28日以上の長期投薬』または『リフィル処方箋交付』が可能な旨を院内の見やすい場所に掲示し、患者から求められた場合に適切に対応する」であろう。院内掲示は割と簡単に考えられがちであるが、厚生局指導監査課の指導対象となる。さらに、リフィル処方箋の問題。国の目指す方向は、プライマリーバランスに基づく医療費の削減。効率化、つまり緊縮政策の流れの中で診療報酬改定が行われている。よって、医師の裁量権である処方日数に関しても長期化への誘導が読み取れる。リフィル期間中の患者の「もしも」のことに関しては、様々な連携でカバーするとあるが、責任の所在は医師にありながらも、方針決定の経路が複雑化することにより、医療現場での混乱が予想される。
 長島公之・日本医師会常任理事は、「まず、議論の大前提として、処方権は医師のみにあるので、当然ながら、どのような処方をするのかは医師の判断による。医師は患者さんのその時々の症状や経過観察の必要性、服用管理等を踏まえながら、長期処方が可能かどうかも含めて検討する」と昨年の中医協総会で述べた。特に高齢者では、1カ月後には別人のような状態で生活習慣病以外の疾病や生活状況で来院することが見られる。今回の改定で、長期処方を促す先に何が起こるかは、今後も注意する必要があるだろう。(葵)