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令和5年度北区認知症高齢者支援ネットワーク連絡会

府医ニュース

2024年4月3日 第3068号

事例検討会で家族介護者への理解を深める

 令和5年度北区認知症高齢者支援ネットワーク連絡会(にこりんく)は12月14日午後、北区障がい者・高齢者虐待防止連絡会議との合同で専門職向け事例検討会を開催。当日は専門職ら102人が参加した。
 冒頭、本出肇・北区医師会長があいさつ。コロナ禍におけるストレスなどを背景に、要介護者に対する無視や意地悪の増加を憂慮。検討会を通して、より良い方向性を探りたいと期待を寄せた。
 事例検討会では、「認知症高齢者の虐待防止・養護者支援について」と題し、家族介護者の心情や、虐待を防ぐために配慮すべきことについて理解を深めた。
 はじめに、沖田裕子氏(NPO法人認知症の人とみんなのサポートセンター)が、高齢者虐待の概要を講義。統計データを用い、「虐待の程度」と「要介護度」や「介護保険サービス利用状況」などとの関係を解説した。支援者は、患者と家族がどのように家族関係を築いたのかを知ることも大切だとアドバイス。あわせて、介護サービスを止めた時に虐待に至るケースが多いと注意を促した。
 続いて、北区での事例を基に、「患者の状態が悪化した中で介護家族に寄り添うために必要なこと」をグループごとに検討。課題や今後の支援展開を参加者で共有した。
 沖田氏は、相談・助言に加え、定期的な声かけによる関係性の構築・維持や生活課題等へのアセスメントなど、家族の気持ちを理解した支援を力説。①とまどい②混乱③割り切り④認知症の人の世界の容認⑤受容――といった介護家族の心理的機序を整理するとともに、家族会やレスパイトケアの有用性を説いた。さらに、決して認知症患者と戦わず、家族も明るく捉えられるように支援することが虐待防止につながると結んだ。
 最後に、柏井三郎・大淀医師会副会長があいさつ。家族が認知症になるという事態において、「支援者のキーワードは共感」と述べ、知識共有の場となる検討会への参加を推奨した。