TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

学校保健講習会

府医ニュース

2024年4月3日 第3068号

ヘッドホン・イヤホン難聴の予防法など詳説

 大阪府医師会学校医部会(部会長=中尾正俊・府医副会長)は令和5年12月8日午後、第3回学校保健講習会を府医会館で開催。ウェブとのハイブリッド形式で、学校医や養護教諭等の学校関係者ら約400人が参加した。

 はじめに森口久子・同部会副部会長(府医理事)があいさつ。インフルエンザなど様々な感染症が猛威を振るう中、対応している関係者に謝意を示すとともに、本講習会が今後の活動に役立てばと期待を込めた。
 坂哲郎氏(同部会耳鼻咽喉科対策委員会委員長)が座長を務め、松延毅氏(日本医科大学大学院医学研究科頭頸部・感覚器科学准教授)が「本当に怖いヘッドホン・イヤホン難聴――Safe listening will save your hear」と題して講演。まず、ヘッドホン・イヤホン難聴(音響性聴器障害)は「内耳が悪くなる病気」と前置き。少しずつ長い時間をかけて進行するため気付きにくく、難聴になると治らないとの特徴を示した。また、若年層の聴力は悪化傾向にあることに加え、ヘッドホン・イヤホン難聴では、加齢性難聴の悪化するスピードが上がると指摘。予防法として、▽音量を下げる(周囲の会話が聞き取れる程度)▽連続して聴かない▽ヘッドホンやイヤホンの使用を1日1時間以内に制限する――などを紹介した。
 続いて、黒川浩史氏(同部会副部会長/学校保健対策委員会副委員長)を座長に、和気浩三氏(新生会病院理事長・院長)が「学校における飲酒防止教室の実施について」をテーマに登壇した。アルコール依存症は、アルコール代謝酵素の差が発症リスクと関連するほか、親のアルコール依存や小児期の逆境体験などが危険因子と指摘した。さらに、20歳未満の脳の特性と飲酒によるリスクに言及。思春期の脳は理性より感情が優位であり、そこに飲酒が拍車をかけ、衝動的な行動や事故、自殺のリスクが高くなると説示した。そのほか、飲酒防止教室を実施する意味として、アルコール使用によるリスク等の知識習得や飲酒を勧められた時に断るスキルを身に付けることなどを提示した。
 最後に断酒会に所属している当事者の体験談が語られた。