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環境保健・健康づくり研修会

府医ニュース

2024年4月3日 第3068号

高齢社会における健康経営など解説

 大阪府医師会主催による令和5年度「環境保健・健康づくり研修会」が12月6日午後、府医会館で開催され、114人が受講した。

 開会あいさつで澤井貞子理事は、「すべての国民が健やかで心豊かに生活できる持続可能な社会の実現」を目指し、国民健康づくり運動、いわゆる「健康日本21(第三次)」が6年度から始まると説明。大阪府でも、第4次健康増進計画をはじめ、様々な施策が進められているとした。今後は、少子高齢化をはじめ、疾病構造、労働者の働き方の変化など多様化する課題にも対応していかなければならないと強調した。
 講演では、藤本良知氏(府医環境保健・健康づくり推進委員会副委員長)が座長を務め、はじめに、岡田邦夫氏(同委員会委員/健康経営研究会理事長)が「高齢社会における健康経営」と題して登壇した。65歳以上の高齢就業者の割合は年々上昇し、令和4年は就業者の約7人に1人であったと説明。従業員の健康状況の把握は、様々な観点から非常に重要だと強調した。中でも、日本の睡眠時間はOECD加盟国の中で最も少ないとし、心身のストレスや肥満、転倒リスクなどへの悪影響を指摘。さらに、国内の労働生産性も他国に比べて低いと述べ、勤務環境の改善などが課題との見解を示した。最後に、高齢社会では、一人ひとりの能力を最大限に引き出し、企業の成長を促す「人的資本経営」が求められると説示。その柱の一つに従業員の「健康・安全」があり、企業としていかに対処していくかが大切だと伝えた。
 続いて、山村健司氏(株式会社SANYO―CYP代表取締役社長兼CEO)が「健康経営の取り組みから両立支援へ――パーパスの大切さ」と題して講演した。平成24年に同社で発生した職業性胆管がん問題に言及。印刷機に使用していた有機溶剤が原因と判明し、25年に労働災害に認定され、その後は再発防止を誓い安全衛生活動に取り組んできたとした。現在は、「定年退職時にこの会社で働いて良かったと思える会社にすること」をパーパスに掲げていると説明。健康経営優良法人認定要件に基づき、▽ヘルスリテラシーの向上▽ワークライフバランスの推進▽職場の活性化▽病気の治療と仕事の両立支援――などを実践しているとした。今後も従業員とその家族の健康を守り、「従業員が安心して何事にも挑戦できる組織を創り続けたい」と語った。