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医師・医療関係者のみなさまへ

感染管理区域で従事する医師・看護師のための研修会

府医ニュース

2024年4月3日 第3068号

新興・再興感染症への備えを解説

 大阪府医師会では、大阪府の委託を受け、「感染管理区域で従事する医師・看護師のための研修会」を実施している。本研修会は、「新興・再興感染症に対処する院内リーダーを育成し、地域における感染対策の充実を図ること」を目的として、令和5年度は第1回を11月12日、第2回を12月17日に同内容でいずれも府医会館で開催。計60人が参加した。なお、第3回を1月21日に予定していたが、能登半島地震対応のため、中止とした。

 初日の開会にあたり、鍬方安行理事があいさつ。新型コロナウイルス感染症は5類に位置付けが変わり、本研修会では新型コロナだけでなく新興・再興感染症にも対応できるよう、内容をブラッシュアップしているとした。また、受講修了者には感染対策リーダーとなって施設スタッフを牽引し、新たな感染症に備えてほしいと伝えた。
 続いて、大阪大学で「感染症総合教育研究拠点(CiDER)人材育成部門副部門長」を務める忽那賢志氏(同大学大学院感染制御学教授)が登壇。新型コロナの感染状況は落ち着いてきているが、一般の医療機関でも患者対応が求められており、適切な感染対策が必要だと述べた。また、今後想定される新興・再興感染症のパンデミックへの備えも身に付けてほしいと加えた。
 司会は、木口雄之氏(大阪急性期・総合医療センター副部長)が務め、まず受講前に課せられた事前学習の確認テストを実施。その後、午前中は各講師により、①PPE着脱②手指衛生③環境整備④PCR検体採取・取り扱い――などの実技演習が行われた。PPE着脱のデモンストレーションでは、ガウン・マスク・ゴーグル・手袋の順での着用を解説。脱衣時に汚染面に触れないポイントなども説明した。PCR検体採取では、スワブの挿入角度などの実技指導が行われた。また、ディスカッションブースでは、忽那氏が講師を務め、いくつかの症例を紹介。既往歴・ワクチン接種歴などを考慮しながら、抗ウイルス薬の適応などについて議論した。
 午後からの研修では、「施設におけるゾーニング」および「発熱外来での感染症対策」をテーマに机上演習。受講者を5班に分け、グループディスカッション形式で実施した。まず、実際の施設図面を用いて、汚染(レッド)・清潔(グリーン)のゾーン配置などを検討。また、皮疹・呼吸器・咽頭・消化器を主症候とする感染症の事例を紹介。接触・飛沫・空気など感染経路に応じた対策を詳説した。延べ420分の研修終了後、受講者全員に修了証が授与された。