TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

大阪府医師協同組合創立70周年記念講演会

府医ニュース

2024年4月3日 第3068号

南海トラフ巨大地震への備えを学ぶ

 大阪府医師協同組合は1月13日午後、同組合本館で創立70周年記念講演会を実施した。当日は鎌田浩毅氏(京都大学名誉教授)を講師に迎え、「2035年±5年に起きる南海トラフ巨大地震に備える」と題して講演。同組合員など約150人が参加し、災害への備えを学んだ。
 開会にあたり、小谷泰理事長があいさつ。小谷理事長は同組合の新たな取り組みとして、アポロンキッズうえまち保育園の開設やマスコットキャラクター「ななまる」の誕生などを報告し、今後も会員サービスを充実させていきたいと語った。
 講演会で鎌田氏はまず、南海トラフ巨大地震の想定被害は東日本大震災の10倍の死者32万人、220兆円の経済損失が予測されていると言及。被害が想定される中部や関西には人口も多く産業地帯でもあることを理由に挙げた。さらに、富士山は現在「噴火スタンバイ状態」にあり、巨大地震で噴火が誘発される可能性を示唆。富士山が噴火すれば、東京でも火山灰が3㌢程度積もると予測されており、首都圏は壊滅的な状態に陥ると語った。その上で、リスク軽減の具体的な戦略などを伝えた。
 講演後には、自然災害への備えやプライベートな話題など参加者からの多岐にわたる質問に答えた。「医師として何ができるか」との質問に対して鎌田氏は、「普段から患者さんの防災意識を高めるよう日常診療の中で教育してほしい」と回答。「知識は力となる」と訴えた。