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本日休診

たんぽぽの春

府医ニュース

2024年3月20日 第3066号

 医院の職員2人の子どもさんが、小学校を卒業する。同じ学校でクラスも同じ。
 保育園の年長の頃は、出勤時に「ママ、行かないで」と泣いていた子が、今では、「頑張って働いてきてね」と送り出してくれる、と。大きくなったなあと感慨深い。先月インフルエンザで学級閉鎖となったが、2人とも罹患せず元気でお留守番。母の不在に、心置きなくユーチューブを見られるからというのが真相らしい。
 この子達の学校生活は、新型コロナウイルス感染症流行の影響を受けた。今まで当たり前に「できていた経験」ができない3年余。新型コロナの学童・児童への影響として、身体機能の低下、不規則な生活スタイルなどが報告されている。人と会うことを制限しなければならず、日常が奪われた。ただ、この特別な経験を経て、健康の大切さ、周りの人を思いやる気持ち、正しい情報を知る重要さなど、多くの学びもあったと思う。
 同じ学校でクラスも同じだった2人は、公立と私立の中学校へと進路は分かれていく。

卒業の
 子等の飛びゆく
       着地点
 そこに花咲く
   たんぽぽであれ
       室野英子

 卒業していく子ども達をたんぽぽの白い綿毛に重ねて、飛び立ち、着地した地面で健やかに育ち、花を咲かせてほしいとの願いをこめた歌。新型コロナの影響は、この子達だけでなく、世界中の子ども達の人生に色々な形で影を落としていくかもしれない。それでも、たんぽぽのように、地面にしっかりと根を張る力強さと可憐さを備え、育っていってほしい。(颯)