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医師・医療関係者のみなさまへ

在宅医療におけるACP研修会

府医ニュース

2024年3月20日 第3066号

穏やかな心でいられる「居場所」を

 大阪府医師会は「大阪府在宅医療総合支援事業」の一環として、「在宅医療におけるACP研修会」を令和5年11月25日午後、府医会館で開催。オンライン受講とあわせて約200人が参加した。
 はじめに前川たかし理事があいさつ。ACPが単に人生の最期に対する取り組みであってはならないと前置き。人生を充実させる仕組みが社会の中に根付くことを願った。
 続いて、川邉正和氏(府医介護・高齢者福祉委員会委員/かわべクリニック院長)と川邉綾香氏(同クリニック看護師)が、「元気なうちに『もしものとき』を考えるACP(人生会議)」と題して講演した。講師(夫妻)は平成27年に開業し、緩和ケアを専門に在宅医療を実践。また、講演会や地域の活性化事業などを幅広く担う「おだやか法人いばしょ株式会社」を令和5年6月に設立し、地元を中心に活発に活動している。
 まず、両氏はACPの総論を解説。4年度の厚生労働省調査では、市民の72%が「ACPを知らない」と回答するなど、まだまだ浸透していない実態を示した。
 なお、人生会議をする前には、①正しい知識を持つ②望みを明らかにする③思いをともにする④目標を整える⑤何度も話し合う⑥地域で支える――ことが必要と明言した。
 特にコロナ禍を経て、「自分は何を大切にしているのか」「どのような人生を歩みたいか」を考えるALP(アドバンス・ライフ・プランニング)もACPとともに重要であると言及。医療・介護だけでなく地域や家族の関わりが必須だと力を込めた。
 次いで、「東大阪プロジェクト(平成30年設立)」の取り組みを紹介。医療・介護職のほか、あらゆる職種が関われる『真の地域包括ケア』を目指した活動を展開していると述べ、▽エンドオブライフ・ケア研修▽緩和ケア研修▽縁起でもない話をしよう会(ACP)▽いのちの授業(中学生対象)▽まちカフェ――など、多種多様なイベントを手掛けてきたと報告した。
 最後に、将来のビジョンとして、「誰もが穏やかな心でいられる居場所を提供する活動」が全国に広がることを切望。「地域包括ケアシステム」という言葉自体が無くなった時に、はじめてACPが実現できたと言えると締めくくった。