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医師・医療関係者のみなさまへ

調査委員会だよりNo.111

学校内科健診における脱衣について

府医ニュース

2024年3月6日 第3065号

 令和5年9月25日から10月10日に行った会員意見調査で、内科校医(園医・嘱託医)であるかどうかや内科健診における上半身の服装についての考えなどを問うた。
 「内科校医でない」という回答は全体で80.4%であるが、診療所長に限定すると64.4%となる。裏返せば35.6%の診療所長が内科校医の活動をしていることになる。診療所長の16.1%が幼稚園・保育所など、23.2%が小学校、10.6%が中学校、3.3%が高等学校、1.0%が支援学校の内科校医をしている。その単純合計は54.2%と前記の35.6%を大きく超えることから、複数の学校を担当していることが分かる。複数の保育所や複数の小学校を担当しているかどうかなどについては今回の調査では分からないが、実際にはさらに多数の学校を担当し、努力いただいている例が多いであろうことは容易に想像できる。
 健診にあたり従来は心音聴取や脊柱側弯確認のため上半身の完全脱衣を求めてきたが、プライバシーに配慮した健診が望まれるようになってきている。内科健診に従事している会員の中で、完全脱衣が良いと考えるのは全体で26.1%であるが、60~69歳で36.0%、50~59歳で21.5%、40~49歳で15.6%と年齢が下がるにしたがって減少している。
 文部科学省は令和6年1月22日に、健診時には児童・生徒の心情に配慮し、体操服を着せるなどの対応をするよう求める通知を全国の教育委員会などに出した。その結果、新年度の健診では完全脱衣で行うという事例は減少するものと思われる。ただそれに伴って、例えばモアレ撮影装置や次世代の脊柱検診機器の導入により側弯の拾い上げができる体制作りなども必要と思われる。

文 川﨑 康寛(貝塚市)