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医師・医療関係者のみなさまへ

新型インフルエンザ等対策医療従事者研修会

府医ニュース

2024年3月6日 第3065号

有事に備える体制が重要に

 大阪府からの委託を受け、大阪府医師会は令和5年度「新型インフルエンザ等対策医療従事者研修会」を11月16日午後、ウェブとの併用で実施。約220人が聴講した。

 冒頭、座長を務めた宮川松剛理事があいさつ。府医の新型コロナウイルス感染症に係る調査では一定の陽性者報告と死亡報告が寄せられており、引き続き注意が必要と訴えた。
 この日は朝野和典氏(大阪健康安全基盤研究所理事長)が、「新型インフルエンザをはじめとする新興感染症――現在の医療体制の座標軸」と題して講演した。まず、現在のインフルエンザの流行状況を説示。前年のアメリカ・イギリスでは例年よりも早く感染のピークが起こっており、日本も同様の経過をたどるのではないかと見通した。また、平成21年の豚インフルエンザ流行や現状の感染動向と重ね、「年末以降に再度ピークが来る可能性」を指摘した。
 新型コロナについては、夏・冬の2回の流行パターンになってきていると言及。冬は北海道、夏は沖縄から流行が始まる傾向があり、今冬については北海道の状況を注視する必要があると説いた。次いで、新型インフルエンザに対するプレパンデミックワクチンに触れた。我が国では平成26年からH5N1、30年からはH7N9型の備蓄ワクチンを製造している。一方で、近年のH5N1の哺乳類への感染例増加やヒトへの感染を踏まえて、再びH5系に戻る方向だと明かした。さらに朝野氏は、SARS、MERS、新型コロナと8年おきに新興感染症が流行しており、それに備えておく必要性も指摘した。

感染症法の改正で医療提供体制が変更

 感染症法の改正で、公的医療機関と地域医療支援病院や特定機能病院などには新型コロナのような新興感染症に対して医療を提供する義務が生じる。それ以外の医療機関については、都道府県知事と医療措置協定を締結することで感染症患者に対応することとなる。この協定指定医療機関に関しては、▽病原性や感染経路は新型コロナが念頭に置かれている▽感染症発生後の概ね6カ月後までにはすべての協定指定医療機関が対応▽想定と異なる際には協定が見直される――などを勘案した上で判断するよう求めた。
 最後に、安全な医療を提供するには、基本的な感染対策の知識や技術を習得することが最も重要だと強調。平時から安全な診療を心がけ、有事に備えることが大切と語った。