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医師・医療関係者のみなさまへ

第44回 大阪の医療と福祉を考える公開討論会

府医ニュース

2024年3月6日 第3065号

「かかりつけ医」は健康管理のパートナー 若い世代にも大切

 第44回「大阪の医療と福祉を考える公開討論会」が2月11日午後、毎日放送本社1階のちゃやまちプラザで行われた。本討論会は昭和56年より開催しており、府医役員らが有識者を交えて大阪府民の健康について討論している。今回は、2025年度から実施される「かかりつけ医機能報告制度」も踏まえ、「かかりつけ医」をテーマに選定。動画投稿サイト・ユーチューブでライブ配信した。

 今回の「公開討論会」は、「かかりつけ医ってなに? あなたや家族の健康、誰と守る?」をテーマとした。MBSアナウンサーの三ツ廣政輝氏が司会を務め、茂松茂人・日本医師会副会長(大阪府医師会理事)、阪本栄副会長、タレントのゆめぽて(川端結愛)さんがパネリストとして意見を交わした。
 はじめに、茂松・日医副会長が「かかりつけ医とかかりつけ医機能」について話題を提供。その後、阪本副会長とゆめぽてさんが対話形式で、「かかりつけ医」を深掘りした。

かかりつけ医とかかりつけ医機能
茂松茂人・日医副会長

 茂松茂人・日本医師会副会長は、「かかりつけ医とかかりつけ医機能」と題して、話題を提供した。はじめに、かかりつけ医は、患者自身が選ぶものと強調。診療科を問わず、信頼できる医師を見つけてほしいと促した。また、自身は整形外科診療所の開業医と前置き。地域ネットワークの中で多職種と連携しながら、かかりつけ医として取り組んでいると述べた。
 能登半島地震では、日医の要請に応じて、全国のかかりつけ医らがJMAT(日医災害医療チーム)として被災地に入ったと報告。1日約40チームが医療支援を行っており、累計1617チーム(2月10日時点)が派遣されているとし、「災害発生時の支援活動も医師会、かかりつけ医の仕事」だと語った。
 かかりつけ医機能については、地域の医療機関との連携や、地域での社会活動への参加など、「日医・四病院団体協議会合同提言(平成25年)」での定義を説明。地域において「面」として支えることが重要とした。あわせて、医師も研鑽する必要があると説いた。

対話を通してかかりつけ医を持つ重要性を伝えた
阪本副会長とゆめぽてさん

 ゆめぽてさんは、平成16年4月生まれの19歳。ファッション雑誌のモデルやタレントとして活動している。この日は、若者の代表として、「若い世代にもかかりつけ医は必要なのか」と問いかけた。
 三ツ廣アナウンサーから紹介を受け、「緊張している」と答えるゆめぽてさんに、阪本副会長は、「町の診療所に来た雰囲気で始めましょう」と優しく声をかけ、対話がスタートした。
 漠然とかかりつけ医はイメージできるが、どれほどの方がかかりつけ医を持っているのかという問いに、阪本副会長は府医で実施したインターネット調査※を基に説明。70歳代では80%以上であったが、20歳代では39%との結果を示した。
 かかりつけ医を持っていない理由として多かった「健康なので必要ない」との回答に理解を示す一方、自身が食中毒で医療機関にかかった時のエピソードを交え、医療への感謝を語るゆめぽてさん。阪本副会長は、イギリスやフランス、ドイツの医療制度を引き合いに「日本の医療制度は世界的に見ても優れている」と強調。かかりつけ医を患者自身が選択できる環境にあり、国民皆保険制度とともに守っていかなければならないと諭した。

 後半は、茂松・日医副会長も加わって討論が繰り広げられた。「若い世代でもかかりつけ医は必要か」との問いには、自身の健康管理以外にも、家族からの健康相談を通して疾患の早期診断・治療につながったという一例を紹介。若い世代であっても「健康管理のパートナー」として、かかりつけ医を持つことの大切さを説いた。
 最近、東京での活動が中心になったというゆめぽてさんは、初めての土地で、「かかりつけ医の見つけ方が分からない」との悩みを相談。阪本副会長は、地区医師会のホームページが参考になるとアドバイス。茂松・日医副会長は、インターネットの口コミや自宅の近所という理由でいいので、実際にかかることが大事だと指摘。人柄を見て信頼できそうなら、かかりつけ医に選べば良いと加えた。
 ゆめぽてさんは、本日の討論を通じてかかりつけ医の大切さが理解できたと発言。同世代の友人らにも伝えていきたいと語った。

討論会を総括した
大平理事

 最後に、大平真司理事が総括。コロナ禍に端を発したかかりつけ医議論であるが、地域の中で連携し、住民の健康を支えていると強調。視聴者には「気軽に相談できるかかりつけ医を持ってほしい」と呼びかけるとともに、「医師も研鑽していく」と結んだ。

※大阪府医師会「医療DX、かかりつけ医、医師会の広報活動に関する府民調査」(令和5年3月17日~3月23日実施。大阪府在住の20~70歳代の男女1200人を対象とした)