TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

第1回小児在宅医療研修会

府医ニュース

2024年2月28日 第3064号

「重症心身障害児者の病態および経時的変化」をテーマに開催

 大阪府医師会は11月15日午後、令和5年度「第1回小児在宅医療研修会」をウェブで開催。今回は「重症心身障害児者の病態および経時的変化を理解する」をテーマに4題の講演を実施し、医師・医療従事者ら約130人が視聴した。

 冒頭、中尾正俊副会長があいさつ。小児の在宅医療の必要性や重要性はこれまで以上に高まっており、本研修会が小児在宅医療の支援および連携体制構築の一助になればと期待を寄せた。
 はじめに荒木敦氏(大阪旭こども病院長)および岡崎伸氏(大阪市立総合医療センター小児脳神経内科部長)が「重症心身障害児の基礎疾患(てんかんも含めて)」と題して講演。まず、重症心身障害児の基礎疾患として、▽脳性麻痺▽染色体異常▽てんかん性脳症――などを挙げ、それぞれの特徴を説明した。加えて、脳性麻痺の主な随伴症状に言及。重症心身障害児者では様々な合併症が相互関連していることや経年的に変化することを紹介した。
 続いて、竹本潔氏(大阪発達総合療育センター南大阪小児リハビリテーション病院副院長)と齊藤利雄氏(大阪刀根山医療センター小児神経内科部長)が「呼吸障害とその対応」を解説。気管カニューレ交換や気管吸引など気管切開ケアの留意点等を紹介したほか、気管切開や人工呼吸器使用中における児のSpO2低下への対応を詳説した。
 次いで、塩川智司氏(府医小児の医療的ケア検討委員会副委員長/四天王寺和らぎ苑施設長)と片山珠美氏(大阪発達総合療育センター小児科)が「消化器問題/嚥下機能評価と経口摂取」を説示。重症心身障害児の消化管機能は、腸管蠕動運動障害による機能的な問題に経時的な体幹変形や固定異常による通過障害の要素が加わり、個々に様々な特徴を呈すると指摘した。さらに、嚥下機能評価方法や適切な食事形態などを説述。食事は意欲を表出したり、食事介助者とコミュニケーションがとれる場面であり「成長を促すことができる大切な機会」と強調した。
 最後に、位田忍氏(同委員会委員長/大阪母子医療センター臨床検査科主任部長)と中西忍氏(中西医院長)が「成人移行支援・小児診療科と成人診療科の連携」について講演。小児科診療における自律・自立支援では、患者の成長に合わせて十分時間をかけながら繰り返し行うと述べたほか、どの疾患においても実施する必要があると言明した。また、重症心身障害児者における成人診療科の対応の課題を提示。在宅医療の診療報酬においては、成人では認められていない指導管理料が小児では認められる項目もあり、「ますます複雑になっており、改正が求められる」と述べた。