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医学部受験

府医ニュース

2024年2月28日 第3064号

 毎年、受験シーズンになると我が不肖の息子の医学部受験を思い出し、妻と顔を見合わせては、「あの時しんどかったね!」と笑い合う。息子は現役の時から、体育と音楽以外の学科はすべて不得手。現役の時は、学部は選ばず大学へ行ってほしいと私は思ったが、本人は根拠のない自信があり、「医学部に行く」と言う。
 浪人1年目は、大阪の大手予備校。予備校にはほとんど出席せず、「自習室には鞄はありますが、本人は……」と学校から電話がかかってくる始末。ゲームセンターで遊んでいた。現役と浪人1年目、私達夫婦は合格発表には全く興味がなかった。それでも本人は、パソコンで合格発表の受験番号を見て、「かすった! チップや! 前後賞ないのかよ!」なんて言う。年賀状の当選番号じゃあるまいし。
 浪人2年目は、約束どおり1年間の執行猶予を経て北九州の某予備校へ。全寮制で、時間厳守、スマホ、ゲームは禁止。毎日、3回試験がある。自習中は自分の個室以外入室禁止。10時には消灯。違反すると即退寮・退学。聖人君子でも務まるかどうかの「刑務所」。3日で出所すると思っていたが、1週間経っても電話がない。妻が寮に「いつもご迷惑かけています。息子は大丈夫ですか?」と電話すると、「よく勉強しています。成績も良い」とのこと!? 誰かと間違っていないかと妻と顔を見合わせた。その年の5月の連休に、息子に会いに行った。「全然勉強が足りない! やばい! 合格する気がしない!」と言う。この言葉を聞いて、私は「来年は合格するかも」と妻に言った。実際、医学部に正規合格した。本人がその気になるまで待つしかないようです。(平)