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医師・医療関係者のみなさまへ

労災医療研修会を開催

府医ニュース

2024年2月28日 第3064号

認定基準や感染対策など講演

 大阪府医師会労災部会は1月12日午後、府医産業医部会・労災保険情報センターとの共催により、「労災医療研修会」を大阪市中央公会堂で開催。約250人が参加した。この日は、2題の講演を行ったほか、労災医療に顕著な功績のあった会員が表彰された。

 冒頭、加納康至・労災部会長(府医副会長)があいさつ。令和6年度診療報酬改定に伴って労災診療費算定基準も改定される見込みであり、詳細については随時発信したいと述べた。また、本日の講演が日常診療の一助になればと期待を寄せた。
 引き続き、荒木祥一氏(大阪労働局長)が、労災医療の円滑な推進に対して府医に謝意を表明。近年は労災請求件数が増加しており、本研修会の意義は大きいとして、今後も継続を要請した。
 その後、労災医療功労者への表彰が行われた。対象者には、荒木氏より表彰状が手交された。

新型コロナ・腰痛
労災認定基準を解説

 中島清豪氏(大阪労働局労働基準部労災補償課労災医療監察官)が、「新型コロナウイルス感染症および高齢労働者等に多い傷病に対する労災認定基準について――労災保険の観点から」と題して講演した。
 新型コロナや、腰痛・上腕骨外上顆炎等の上肢障害の原因は、「必ずしも業務による要因のみに求めることができない」と指摘。労災保険では一定の認定基準が設けられているとし、具体的な調査等を示した。その上で、患者からの労災請求相談については、支給可否の最終判断は労働基準監督署長に委ねられているなど「適切に助言してほしい」と促した。

耐性菌の動向
抗菌薬の適正使用を

 吉田耕一郎氏(近畿大学病院長補佐/安全管理センター感染対策部教授・部長)は、「院内感染対策と耐性菌を見据えた抗菌薬適正使用――労働災害の症例を中心に」と題して、院内感染対策の重要性や抗菌化学療法を説明した。
 吉田氏は、広域抗菌薬の長期使用で耐性菌による菌交代症が惹起されることもあり、適正薬の選択と治療期間短縮が課題とした。また、耐性菌の蔓延にも注意が必要とし、「高いレベルでの感染対策継続」を求めた。

労災医療功労者を表彰

 令和5年度「労災医療功労者」として5人が受賞し、労災部会副部会長を務める山田義夫氏・河村禎人氏に厚生労働省労働基準局長表彰が贈られた。また、労災診療費審査委員および地方労災医員として尽力する長谷川利雄氏に大阪労働局長表彰が授与された。
 昨年度も3人が受賞しているものの、新型コロナの影響で表彰式が中止されていた。この日は昨年度の受賞者を代表して、福本敏子氏(労災部会常任委員)が登壇。事務局より花束が贈呈された。