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時事

「電子カルテ情報共有サービス」の構築進む

府医ニュース

2024年2月21日 第3063号

電子カルテ改修のための技術解説書も公開

 1月24日、厚生労働省「健康・医療・介護情報利活用検討会」の医療等情報利活用ワーキンググループ(WG)第20回会合が開催された。
 (1)全国で医療情報を確認できる仕組み(ACTION1)について、オンライン資格確認等システムで管理する健康・医療情報の保存期間を、法令等を考慮して5年間に延長した(資格情報は喪失後10年間で変更なし)。そして、意識不明等の救急時に、マイナンバーカードまたは4情報(氏名、生年月日、性別、住所)検索により、本人同意なしで提供される救急用サマリー(抜粋情報)では、手術情報の表示期間を、通常時に揃えて5年に延長した。ちなみに受診歴、薬剤情報、診療情報などは、これまでの議論どおり3カ月に限定される。
 (2)電子カルテ情報共有サービスにおける、3文書(健康診断結果報告書、診療情報提供書、退院時サマリー)6情報(傷病名、感染症、アレルギーによる薬剤禁忌、アレルギー、検査、処方)の運用を整理した。▽医療機関での電子カルテ入力後、共有サービスへの情報登録の期限について、療養計画・アドバイスを含め、診療当日中(夜間も可)とした。ただし感染症情報は、医師から患者に結果を説明した上での登録(患者がマイナポータル経由で閲覧可能)となるよう、次回診療日中(夜間も可)とした。検査情報は、結果報告時の自動登録もしくは結果説明後の登録を、医療機関が選択できる▽傷病名は、患者が閲覧できない「未告知」、他の医療機関にも情報提供されない「未提供」(初期診断や疑い病名を想定)、5年を超えても閲覧可能な「長期保存」のフラグを設ける。主傷病の設定も行うことができる▽検査は、1年分もしくは3回分の情報を閲覧可能とする――などである。
 また、患者に分かりやすく診療情報を連携する仕組みとして、Patient Summaryを導入する。療養計画・アドバイスの情報が6カ月間保存される療養計画データベースを軸に、病名・薬剤・検査などの情報が表示される。
 そして、医療機関での電子カルテ改修のための、システムベンダ向け技術解説書(案)を提示した。国は令和6年度中にモデル事業を実施し、7年度中の本番稼働を計画している。なお、電子カルテ情報共有サービスの利用は任意ではあるが、診療報酬上の加算による普及の誘導が見込まれている。
 さて、2月5日には、同検討会の介護情報利活用WG第8回会合が開催され、論点の整理と対応案の提示がなされた。介護情報基盤は、全国医療情報プラットフォームにおいて医療情報基盤とは別に構築され、①要介護認定②請求・給付③LIFE(科学的介護情報システム)④ケアプラン――の4情報が共有される。現時点では医療機関には、利用者の同意を前提に、主治医意見書、介護保険被保険者証、LIFE、ケアプラン情報が共有される構想となっている。こちらは、8年度から全国実施の計画である。
 マイナ保険証の利用率が8カ月連続で低下している中、システム構築の方は、工程表に従って着々と進められている。 (学)