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医師・医療関係者のみなさまへ

在宅医療・介護連携推進に係る多職種研修会

府医ニュース

2024年2月21日 第3063号

地域特性に応じた連携体制構築 大阪市北区・富田林より報告

 大阪府医師会は1月6日午後、大阪府在宅医療総合支援事業の一環として、令和5年度「在宅医療・介護連携推進に係る多職種研修会」を府医会館で開催。ウェブとの併用により、会員および在宅医療に関わる多職種など約150人が受講した。

第8次医療計画を見据えた
在宅医療ネットワーク構築へ

 開会にあたり、前川たかし理事があいさつ。令和6年度開始の第8次医療計画では、「在宅医療において積極的役割を担う医療機関」「在宅医療に必要な連携を担う拠点」を位置付け、これらを中心に地域特性に応じた在宅医療ネットワークを構築することになると説明した。こうしたネットワークは地域包括ケアシステムの深化・推進や災害時にも活用できるとし、本研修会がその一助になればと期待を寄せた。

大阪市北区の状況
都市部特有の課題を踏まえて対応

 続いて、守上賢策氏(府医介護・高齢者福祉委員会委員)が座長を務め、米田円氏(大阪市北区医師会在宅医療担当副会長/米田内科胃腸科院長)と川田雅子氏(同区医師会在宅医療・介護連携相談支援室コーディネーター)が大阪市北区における在宅医療・介護連携の推進について紹介した。米田氏は、北区の地域特性として、①転出入が多く人口が増加②単独世帯が多い③高齢者の増加④不安定雇用の拡大――などを挙げた。また、同区の2025年在宅医療需要推計は1800人/日で、医療介護需要予測指数は2030年以降も上昇しているとした。さらに、在宅医療・介護連携体制の状況を解説。『大阪市北区地域医療ハンドブック』刊行のほか、在宅医療・介護連携に関する委員会・会議の開催状況を報告した。最後に、地域包括ケアシステムの構築に向けた課題として、▽他科の医療機関との連携▽精神科領域における在宅医療提供体制▽非会員の往診専門医療機関との連携▽タワーマンションにおけるセキュリティ問題――などを指摘した。
 川田氏からは、北区在宅医療・介護連携相談支援室(北サポ)の取り組みなどが伝えられた。

富田林圏域の在宅医療
3つのエリアで実績に応じて構築

 次いで、坂口隆啓氏(富田林医師会在宅医療担当理事/坂口医院長)と峯山郁美氏(同医師会訪問看護ステーション在宅医療・介護連携コーディネーター)が登壇し、富田林圏域における在宅医療・介護連携の推進について詳述。坂口氏はまず、平成24年の診療報酬改定で機能強化型の「在宅療養支援診療所・病院」が創設された後、市内の診療所の協力を得るために医師会主導で行ってきた取り組みを説示した。富田林市では3つのエリアにグループを分け、グループごとに診療実績を集計して届出を行っている。届出後の運用は、▽24時間対応のコールセンター設置▽PHSを購入して24時間の連絡体制を確立▽患者登録数により事務委託費を設定――などを紹介。さらに、各医療機関の連携体制にも言及し、病診・診診・病病連携の重要性を再確認したと語った。
 その後、峯山氏からは、在宅医療・介護連携コーディネーターとしての活動報告がなされた。