TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

令和5年度第3回周産期医療研修会

府医ニュース

2024年2月7日 第3062号

新生児マススクリーニングの動向を解説

 大阪府医師会は10月28日午後、令和5年度第3回周産期医療研修会を府医会館とウェブの併用で開催。「新生児マススクリーニング・今学ぶべき最新の動向――拡大マススクリーニングと聴覚スクリーニングについてお母さんに質問されて正しく答える事ができますか?」をテーマに2題の講演が行われ、医療従事者など約180人が受講した。

 冒頭、笠原幹司理事が開会あいさつ。新生児の拡大マススクリーニング・聴覚スクリーニングについては、府内全市町村での公費助成実施やサポート体制の充実を求めて、大阪府・市に要望を行っていると述べた。
 座長は、陌間亮一氏(淀川キリスト教病院産婦人科部長)と和田和子氏(大阪母子医療センター新生児科主任部長)が務め、はじめに濱崎考史氏(大阪公立大学大学院医学研究科発達小児医学教授)が、「新生児マススクリーニングの最前線」と題して講演した。新生児マススクリーニングは、すべての出生で「先天性代謝異常等の特定の疾患を発見するために行う検査」と説明。日本では昭和52年から6疾患を対象として開始されたと述べた。その後、タンデムマス法の導入により、現行の約20疾患へ対象が拡大。重篤な疾患の早期診断・治療が可能になったとした。さらに、一部の地域では自己負担による拡大マススクリーニング検査を実施する動きも広がっていると指摘。自治体の枠を越えた連携に加え、周産期医療に関わる医療関係者の協働が今後ますます必要になると強調した。
 続いて、岡﨑鈴代氏(大阪母子医療センター耳鼻咽喉科主任部長)が「新生児聴覚スクリーニングと難聴児の早期療育」をテーマに登壇した。先天性難聴は出生1千人に1人と比較的頻度の高い疾患だと説明。音声を用いた言語能力の獲得には臨界期があるとし、新生児聴覚スクリーニングによる早期発見・療育の重要性を示した。また、検査方法による精度の違いを詳説。自動聴性脳幹反応検査(AABR)が望ましいと語った。さらに、先天性難聴の一因である先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症の治療に言及。早期に投薬を行うことで難聴の進行を抑制できるとし、要再検査例では新生児尿核酸検査を必ず行ってほしいと加えた。