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医師・医療関係者のみなさまへ

第5回枚岡在宅医療フォーラム

府医ニュース

2024年2月7日 第3062号

災害時のBCPをテーマに開催

 枚岡医師会は令和5年10月28日午後、第5回枚岡在宅医療フォーラムを開催した。今回は、6年度より開始される第8次医療計画に示されている在宅医療体制、特に災害時の医療機関業務継続計画(BCP)策定をテーマとした。
 冒頭、五島淳会長があいさつ。第8次医療計画における在宅医療では、地域医師会が連携拠点と位置付けられていると強調。平時から関係機関との密接な連携体制の構築が重要であり、顔の見える関係ができてこそ地域の実情に合わせた在宅医療計画が一体的に提供できると述べた。
 在宅高齢者の7割に栄養障害があるとの報告もあり、フレイル予備軍として懸念されている。これらの高齢者は、災害時の潜在的な要介護支援者リストの候補に挙げられる。第1部の講演では、それを踏まえて「食から始める若さの秘訣」をテーマに栄養士による講演が行われた。フレイルから要介護支援者にならない栄養改善の工夫が示されたほか、災害時に低栄養を予防する非常食の簡便な作り方が説明された。
 第2部では、「在宅医療あなたを守る3つのチーム」をテーマにBCPの策定を準備推進している3機関(保健所・地域包括支援センター・医師会)が現状を報告。枚岡医師会は、東大阪市と締結した「災害時医療に関する協定」を示し、災害時の医師会の役割を明確に説述した。続いて、災害時の会員医療機関の対応状況に関する①災害時の医師会員招集に対応できるか②災害時においても診療が可能か③医療機関に3日間の医療品備蓄ができているか④保健所・地域包括支援センターと協働して災害時の対応ができるか――とのアンケートでは「20有余の医療機関」が対応可能と回答。多くの会員が災害時対応に協力できると確認された。
 次に、東大阪市保健所が熊本地震(平成28年)において保健予防、生活衛生、医療体制の再構築など多岐にわたる活動と調査により市民の健康が守られたことを報告した。
 最後に、特別養護老人ホームより、災害時の避難者受け入れなど非常時の対応、地域包括支援センターからは平時より要援護者台帳を紙媒体としてバックアップ保存しているなど「自然災害発生時におけるBCP策定の基本方針」が説明され、平時からの備えの工夫が報告された。
 本フォーラムで保健所・地域包括支援センター・医師会が一堂に会し、災害への対応と備えを示しつつ顔の見える形で情報共有が行われ、有意義なフォーラムとなった。枚岡医師会は地域包括ケアシステムを支えるために実現可能なBCPを作成し、かつ会員医療機関のBCP作成を支援しなければならないことを痛感した。BCPの作成・実施には課題が多い。しかし「起こる可能性のあることはいつか実際に起こる」。予測されることを準備しておくことは今からでも遅くはない。
報告・写真提供
枚岡医師会副会長
森 重人