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大阪府女医会第17回秋の学術講演会

府医ニュース

2024年2月7日 第3062号

HPVワクチン接種で子宮頸がん予防

 大阪府女医会(樋口洋子会長)は令和5年10月28日午後、大阪市内で「第17回秋の学術講演会」を開催。ウェブ配信も併用し、80人が参加した。
 開会にあたり、樋口会長があいさつ。日頃の同医会活動への協力に謝意を表すとともに、本日の講演テーマである「子宮頸がん」に言及。HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンのキャッチアップ接種を含め、会員の協力を得ながらワクチンの普及に努めていきたいとして、協力を要請した。
 講演会は藤谷宏子・同医会副会長が座長を務め、まず、田辺晃子・同医会理事が「子宮頸癌の排除にむけた地球規模の戦略」と題して講演した。子宮がんの原因はHPV感染であるが、ウイルスには発がん性のある高リスク型と良性腫瘍を引き起こす低リスク型があると説明。また、女性の80%以上は人生で一度はHPVに感染するが、そのほとんどは自然消滅すると指摘した。一方で、ウイルス感染自体を予防できるとして、HPVワクチン接種の有用性を強調。子宮頸がん排除への世界目標として、「子宮頸がんの年齢調整罹患率が年間10万人あたり4人以下となること」が設定され、▽少女が15歳までにHPVワクチンを接種▽女性が35歳、45歳時に子宮がん検診を受診▽子宮頸部病変を指摘された女性が治療とケアを受ける――が2030年までの介入目標とされていると説述した。
 特別講演では、種部恭子氏(女性クリニックWe!TOYAMA代表/富山県議会議員)が「HPVワクチン接種率向上に向けた取り組み――1日でも早く、1人でも多く」として登壇。種部氏は、女性の社会進出が進む中、「男女共同参画社会基本法」や「女性活躍推進法」などの法整備がなされてきたと前置き。女性の社会進出により妊娠・出産年齢が上がり、子宮頸がんのピークが重なってきたと説示し、HPVワクチン接種の必要性を強調した。一方で、ワクチンの副作用の問題を解決しなければ接種率の向上は望めないと述べ、信頼できる「あと一押し」が必要だとして、小児科医の協力を求めた。さらに、自身が政治家を目指した目的の一つが、「HPVワクチンの接種率向上」だと語り、富山県の接種率向上への取り組みなどを紹介した。