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医師・医療関係者のみなさまへ

勤務医部会活動報告

府医ニュース

2024年1月31日 第3061号

在阪5大学医師会・2行政医師会役員と府医および勤務医部会役員との懇談会に参加して
府医勤務医部会常任委員 大里 浩樹

 令和6年4月より「医師の働き方改革」が本格実施されます。病院勤務医には時間外労働の上限規制が設けられるとともに、医師の健康確保対策が求められます。夜間勤務は、シフト勤務か宿日直許可か選択しなければなりません。病院勤務医の慢性的な過重労働環境を改善することは非常に大切です。しかし、医療現場の実情を考慮しない働き方改革は、医療崩壊につながる可能性も危惧されます。
 医師を派遣する側とされる側双方の改革に向けた課題を共有するために、5年11月30日に在阪5大学医師会・2行政医師会役員と大阪府医師会および勤務医部会役員で「医師の働き方改革――地域・救急医療を維持するために我々ができること」をテーマにした懇談会が開催されました。
 大学病院では、業務改善委員会やワーキンググループで積極的に改革に取り組まれ、医師の時間外労働を削減されていました。しかし、大学によっては救急外来や病棟当直の医師数を減らさざるを得ない実態も報告されました。また、大学病院としての若手医師の育成や研究活動がしづらく、将来的な医学の発展に重大な影響を及ぼす可能性が懸念されます。
 今回の懇談会を通じて、個々の病院での改革には限界があると実感しました。改革の本来の目的は勤務医の勤務環境の改善であり、労働時間の制限だけではかえって地域医療の崩壊や学術活動の低迷を招きかねません。大学病院を含めて地域の中で、勤務医の働き方を考える必要があります。医療需給のバランスを考慮して、最適配置を地域で少しずつ進めることが大切ではないでしょうか。
 また、種々の職種の職員にタスクシフトすることと、AIの導入に積極的に取り組む必要があります。医師だけの改革には限界があり、今後ほかの職種も不足が予想されることもあり、病院全体で根本的な改革をしなければならないと考えます。