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医師・医療関係者のみなさまへ

令和6年能登半島地震「JMAT大阪」被災地に

府医ニュース

2024年1月31日 第3061号

先遣隊が出動 必要な医療支援探る

 1月1日午後4時10分頃、石川県能登半島で深さ16㌔を震源とするマグニチュード7・6の地震が発生した。志賀町で震度7、七尾市・輪島市・珠洲市・穴水町では震度6強の揺れが観測され、沿岸部には津波が押し寄せた。内閣府は直ちに災害救助法の適用を決定。5日には、石川県医師会の要請を受けたとして、松本吉郎・日本医師会長から各都道府県医師会長宛てに、「JMAT(日医災害医療チーム)」の派遣要請がなされた。

 大阪府医師会は1月5日、「大阪府医師会令和6年能登半島地震災害対策本部」を会館内に設置した。高井康之会長は、同日の新春互礼会でも「早急にJMATを編成し、派遣したい」との意気込みを語り、協議の末に先遣隊の派遣を決定。宮川松剛・清水智之両理事が被災地へ向かうこととなった。東日本大震災や熊本地震でもJMAT大阪として尽力された多田耕三氏(豊中市薬剤師会副会長)、貝谷恵美子氏(医療法人弘道会看護師)が合流。事務局2人も加わり、1月13日、被災地に向けて出発した。

穴水町での情報収集

 先遣隊は、金沢に入ると、石川県庁内に設置されたJMAT調整本部で登録。同本部に出務していた齊藤典才・石川県医師会理事に現状を確認するとともに見舞金を手交した。
 その後、能登総合病院(七尾市)内にあるJMAT調整支部の会合に参加。穴水町の状況確認の指示を受けた。支部での会議では、付近の医療ニーズは減少傾向にあるとされていた。同町以北に医療不足を認めるが、降雪と道路状況から十分な情報は得られなかった。
 宮川理事は、活動ニーズが見込まれる穴水町以北にアクセスするには、「最低でも七尾市内での宿泊が必要」と指摘する。現地での宿泊に耐え得るチーム編成が必要との見方を示している。

2日目・志賀町
避難所を訪問

 1月14日午前6時20分、金沢市内の宿泊施設を出発。七尾調整支部で会合に参加した。この日は、志賀町内の避難所等を巡り、感染状況や衛生管理面を確認した。
 先遣隊は志賀町内北西部の避難所に赴き、情報を収集。その際には男性1人、女性3人の診察を行った。夕刻からは富来(とぎ)病院(志賀町)、七尾調整支部での会合に参加し、状況を報告した。

3日目・志賀町北西部
後続チームに引き継ぎ

 富来病院で行われた会合を受け、先遣隊は引き続き志賀町北西部の指定避難所・自主避難所等を担当することとなった。
 訪れた各所で血圧測定や問診などを実施。不調を訴える方を診察した。その後、後続のチームへ物資を引き渡すとともに巡回状況や入力フォームなどを引き継いだ。
 先遣隊の談話によると、定期的な健康観察が必要な避難所が確認されたとのことだ。また、自主避難所での新たな医療ニーズの発掘や、感染症の早期発見とあわせて拡大時の対応も課題だとの考えが示された。

JMAT大阪
出務チーム募集

 日医はJMATによる長期的な被災地支援を継続する方針だ。松本・日医会長を本部長とする災害対策本部を立ち上げ、JMATの派遣を中心に検討を続けている。一方で能登半島北部へのアクセスは極めて厳しく、今後は金沢市以南の1・5次避難所(要介護者などで、2次避難所が決定するまでの間に滞在する避難先)や2次避難所(ホテル・旅館等)への派遣が基本となる模様だ。府医も当面は派遣要請に応じる構えで、出務チームを募集している。問い合わせは、府医救急災害医療課(電話06―6763―7003)まで。