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医師・医療関係者のみなさまへ

府医新春互礼会で高井会長が決意

府医ニュース

2024年1月17日 第3060号

医師会が一致団結して難局に立ち向かう

 大阪府医師会は1月5日午後、新春互礼会を大阪市内のホテルで挙行した。新型コロナウイルス感染症の影響で近年は中止しており、4年ぶりの開催となった。当日は郡市区等医師会長や会員のほか、府内選出の国会議員、大阪府議会議員、大阪市会議員、行政関係者、医療関係団体など約400人が参席した。元日に発生した能登半島地震、翌日に起きた羽田空港での日本航空機と海上保安庁機の衝突事故と痛ましい出来事が続く中での実施となった。

 栗山隆信理事の司会で始まり、高井会長が登壇した。冒頭、1月1日に発生した能登半島地震および翌日の羽田空港での航空機衝突事故に触れた。衝突事故は、地震の救援物資を運ぶ途上であり、亡くなられた隊員に哀悼の意を表した。また、地震で犠牲となった方々の冥福を祈り、3万人以上が避難生活を送っている現状を憂うとともに1日も早い復旧・復興を願った。

診療報酬0.88%プラス改定に一定評価

 今年は診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬のトリプル改定が控える。診療報酬改定率は、プラス0.88%で決着した。高井会長は、「日本医師会の尽力、また医療等に理解のある国会議員の協力があり、岸田文雄首相が決断した」との見方を示した。過去数回と比べると大きな引き上げであり、「医師会として要望していた人材確保・人件費に応じていただいた」と語った。
 次いでかかりつけ医の制度化に言及。一部の経済学者や経済人による「コロナ禍でかかりつけ医が機能しなかった」との発言は、「認識誤り」と断じた。国民が医療をどう見るかという趣旨の複数のアンケートでは、「医療に対する信頼は、むしろコロナ禍で増している」と胸を張った。その上で、かかりつけ医の制度化は「本来のあり方と次元が異なる」と主張。医療界が結束して反対したことで、昨年に「かかりつけ医機能の情報提供」という形で決着したのは妥当だと述べた。

JMAT準備進める

 能登半島地震に関しては、日医からJMAT(日医災害医療チーム)の要請が来ていると明かした。医療機関も多くが被災しており、「ある程度落ち着いてくれば府医としてもJMAT派遣に応じる」と言明。会員への協力を求めた。
 最後に医師の働き方改革や第8次医療計画、医療DXなど問題は山積しているが、「執行部が一致団結して向き合う」とし、一層の支援を要請した。
 続いて、吉村洋文・大阪府知事、横山英幸・大阪市長、深田拓司・大阪府歯科医師会長、羽生田たかし・参議院議員ら来賓から祝辞が述べられた。

来賓祝辞(大阪府・大阪市)
地域包括ケアシステム構築に力添えを
吉村洋文・大阪府知事(渡邉繁樹・副知事代読)

 まず、石川県能登地方を中心に発生した大地震で亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げる。被災地の1日も早い復旧・復興に向け、大阪府としてもできる限りの支援を行いたい。
 コロナ禍では、医療分野における課題が浮き彫りとなり、地域における医療の機能分化や連携などの重要性が改めて認識された。一方で、人口減少・超高齢社会での医療ニーズの変化や働き方改革の推進なども踏まえ、持続可能で切れ目のない医療提供体制の構築を図っていくことも必要となる。大阪府としては、医療関係者と連携を図りながら、自然災害や感染症パンデミックなどにも適切に対応できる施策を力強く推進していく。
 府医および郡市区等医師会の支援・協力をいただき、引き続き地域包括ケアシステムの構築に向けて尽力したい。

誰もが住み続けたい都市づくり目指す
横山英幸・大阪市長(山本剛史・副市長代読)

 能登半島地震で犠牲になられた方へ心よりのお悔やみと被災されたすべての方々にお見舞い申し上げる。大阪市ではすでに被災地での救助活動や支援活動に取り組んでいるが、継続して被災地の1日でも早い復旧・復興を支援する。
 新型コロナ下での協力には非常に感謝している。大阪市では、多様な幸せを実感でき、誰もが安心していつまでも住み続けたいと思う賑やかで活気ある都市の実現を目指している。医療、福祉の向上など市民サービスの充実、大阪の成長と発展に向けて引き続き力添え願いたい。
 来年は「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、大阪・関西万博が開催される。大阪の医療を全世界に発信することができる絶好の機会であり、安心して暮らせる健康長寿都市の実現にもつながると考えている。万博の成功に向け、一層のご理解・ご支援をお願いしたい。
 その後、乾英夫・大阪府薬剤師会長の乾杯の発声で祝宴が開かれ歓談。澤芳樹・府医副会長のあいさつで閉会となった。