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府医ニュース

2023年3月15日 第3030号

 ◆一時3万人にも達していた年間自殺者数は、2019年までの10年間減少し2万人となった。しかしコロナ禍で増加に転じ、22年には2万2千人近くに。若い女性・小中学生の増加率が目立っている。
 ◆自殺率の低い地域の調査研究「生き心地の良い町」(岡檀(おかまゆみ))では、白か黒かの二元論でとらえず、あいまいな選択で袋小路に入らない。互いにおせっかいしあい、孤立感を薄める。他地域に比べ、生き心地良いとなる。
 ◆厚生労働省は、コロナ禍での失業増等経済問題が主因とする。ただし、岡さんの視点も当てはまるかもしれぬ。感染防止行動は、集団監視の下「あいまいさ」が許されず窮屈な暮らしへと。人流抑制は、孤立感から絶望が生まれかねない。若年層がより敏感に。
 ◆まもなく2類から5類へ。社会活動の復活が始まる。「あいまいさの許容」「孤立感の解消」が、自殺者数の減少につながることを期待する。ただし、識者が予期している第9波が現れても、医療体制が十分機能することが前提。真の5類はまだ遠い先。(翔)