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医師・医療関係者のみなさまへ

小児在宅医療研修会(実技研修会)

府医ニュース

2023年3月1日 第3029号

小児の医療的ケアの支援体制強化

 大阪府医師会は、令和4年度第1回小児在宅医療研修会(実技研修会)を2月5日午後、府医会館で開催し、医師・訪問看護師ら約30人が参加した。本研修は大阪府移行期医療支援センター後援の下に、「大阪府小児在宅医診療促進事業」の一環として実施するもので、今年度は「医療的ケア手技の確認と急変時の対応方法」をテーマに全3回開催する。

大阪府が令和5年度に医療的ケア児支援センター設置

 当日は、位田忍氏(府医小児の医療的ケア検討委員会委員長)が座長を務め、はじめに前川たかし理事があいさつした。冒頭、新型コロナウイルスの影響により、3年ぶりに対面での実技研修会が開催できたことに感謝の意を表した。その上で、3年9月に「医療的ケア児支援法」が施行されたことに伴い、大阪府では5年度に「医療的ケア児支援センター」の設置を予定していると明言。本日の研修会を通じて重症心身障がい児とその家族に関わる医療者が増え、小児在宅医療の支援体制が進めばと期待を寄せた。

動画視聴と講演座学で現場学ぶ

 実技演習に入る前に、受講者は、①訪問診療の様子②医療的ケアの実際の手技③胃瘻交換――の動画を視聴。さらに、塩川智司氏(同委員会副委員長)が、「知っておきたい小児と障がい児の特徴、緊急時対応」と題して講演した。塩川氏は、「重症心身障害」は重度の運動障害と知的障害が重複した状態と説示。これは医学的診断名ではなく、児童福祉での行政上の措置を行うための定義と述べ、我が国では成人も含めた重症心身障がい児・者が4万2千人(推定)いることを明らかにした。さらに、その原因(疾患)や特徴、死亡原因などを列挙。重症心身障がい児は呼吸器系が弱く、死因の約6割は呼吸器合併症であると述べ、救命処置の様々な要点を説明した。
 引き続き、竹本潔 氏(同委員会委員)が、呼吸器トラブルにおける具体的な処置を説明。実技体験後、さらに同僚や部下などに指導することで技能習得度が上がると力説。子ども達のために励んでほしいと期待を込めた。
 引き続き、ナーシングベビーを使用した実技演習に移行。参加者は3グループに分かれて取り組んだ。講師は、同委員会委員、大阪府訪問看護ステーション協会看護師らが務め、胃瘻管理のほか、リー脳症や脊髄性筋萎縮性脳症、有機酸代謝異常などの原疾患による10ケースの状態を想定し進められた。
 なお、今年度は3月4日と18日にも同内容の研修会開催を予定しているほか、府医ホームページにおいて、実技演習動画を近日中に掲載する予定。