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医師・医療関係者のみなさまへ

1月度郡市区等医師会長協議会

府医ニュース

2023年2月15日 第3027号

 1月度郡市区等医師会長協議会(令和4年度第10回)が1月27日午後、大阪府医師会館で行われた。本文は高井康之会長あいさつ(要旨)。

 昨年末からの新型コロナウイルス第8波においては、年末年始における臨時発熱外来の設置、また新年から感染者が急増する中での外来・入院患者対応などで尽力いただき、心よりお礼申し上げる。オミクロン株への変異以降、重症化・死亡率は低下したものの、感染者数の大幅な増加により、結果として死亡者数も過去最多を記録しているのが現状である。
 米国で流行するXBB・1・5株は現在のBA・5株より感染力が強く、また中国のゼロコロナ政策からの転換も日本への影響が危惧され、予断を許さない。府医では、定期的に西浦博・京都大学大学院教授と勉強会を開催しているが、西浦氏は感染の波が繰り返されるエンデミック期に入っており、こうした状況が数年以上は続くと予想している。
 政府は新型コロナの感染症法上の位置付けを5月8日から5類に移すことを決断した。それに先立って松本吉郎・日本医師会長は岸田文雄総理に面会し、診療報酬上の特例措置(公費負担)やワクチン接種など現在の医療体制の継続を求め、段階的な移行を強く要望された。医師会としては国民の命を守るために、政府や地方自治体における急激な緩和がないよう注視したい。なお、医療機関におけるマスクの着用や換気など感染予防への継続は必要である。
 ウクライナ紛争にも終わりが見えず、さらに拡大の恐れもある中で、東アジアの安全保障への影響も危惧される。政府は防衛費を欧州並みにGDPの2%以上確保するということを表明。さらに、岸田総理が挙げた「異次元の少子化対策」では、所得税・法人税・消費税の増税も噂されている。与党内でもまだ議論が尽くされていないが、財務省を中心に社会保障費抑制への厳しい動きが予想される。来年の診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬のトリプル改定に備え、しっかりとした財源がないと、国民皆保険制度を守ることはできないことを国民にも訴え、一丸となって財源確保を働きかけていきたい。
 4月から原則義務化となっているオンライン資格確認導入は、ベンダー対応の集中や光ファイバー環境が遅れる地域もあるなど、義務化の経過措置が日医の要望によって認められた。また、薬価(中間年)改定については、当初、財務省は薬価差益を大きく圧縮し、薬価を約4900億円下げる考えであったが、原材料高騰、薬剤供給の滞りなど臨床現場が非常に混乱している状況もあり、実際は3100億円程度の削減となる見込みである。なお、時限的であるがオンライン資格確認の促進や薬剤の安定供給のための評価を行うなど、薬価の減を診療報酬本体に一部戻すことができた。
 その他、「かかりつけ医機能」「医療のデジタル化」「働き方改革」など多くの課題を抱えているが、しっかりと対応することで、医療界が飛躍できる年になればと期待している。