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あれから半年

府医ニュース

2022年6月29日 第3004号

 大阪市北区のクリニックで、院長や通院患者を含む26人が犠牲となった放火殺人事件は、今月17日、発生から半年を迎えた。令和3年12月17日、メディアから流れた映像に、激しく動揺した。さらに、約1カ月後、埼玉県ふじみ野市で在宅医が訪問患者宅で射殺される事件が起こり、医療や介護の現場での日常診療の中の危うさが顕在化した。
 二つの事件で被害に遭われた皆様に、心より哀悼の意を表する。真摯に医療に取り組まれた医師や医療従事者の方々、大阪の場合は通院患者の方々までもが巻き込まれた。一人の医師として、自分事のように、悲しさ、悔しさ、そして憤りを感じる。胸が塞がる。
 診療所等の限られたリソースで、どのような予防策・対応策を講じることができるのか。医療従事者への暴力は、軽口やちょっと小突くといったものでも、いずれ大きな犯罪に発展しかねない。看過しないこと。医療従事者側と患者側との双方の視点で事態を想定すること。問題点を把握し、危機の回避をはかること。それらを職場全体で共有すること、等々。
 日本医師会は、これらの事件を受け、「医療従事者の安全を確保するための対策検討委員会」(検討委)を設置し、4年3月1日に第1回、4月6日に第2回、5月18日に第3回検討委を開催している。防止に向けた防犯対策強化、職員研修などが議論に上り、第2回からオブザーバーに加わった警察庁は、事前相談の重要性に言及した。
 大阪は、当該の府として、医師会、警察、医療や介護に携わる者一体となって、安全管理体制の構築を進めると期待する。
(颯)