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府医ニュース

2022年6月1日 第3002号

 ◆障害者の就労の意義は大きい。しかし、職員の数%の採用に留まっている。そんな中、職員の2割が障害者という野菜農園がある。
 ◆種まきから収穫・販売までの多様な仕事をこなすのではなく、障害があってもうまくできる作業を分担し、つなげていく「作業分解」。「すべてできて一人前」という固定観念を外し、「職員が支えあう」という雰囲気が高まり、作業効率も上がったという。
 ◆障害者雇用が進まない要因の一つが、賃金の負担であろう。農園では、最低賃金法にある「減額特例」でクリアしている。最低賃金を一律に守るのではなく、雇用機会を保つ賃金設定の許可を得ている。できる作業が増せば賃金を上げる前提で意欲を高めている。
 ◆この農園の在り方には批判もあろう。しかし、極めて高い雇用率の実績は評価されるべきである。心身の障害だけでなく、様々な困難を持つ人々が、参加できる多様性を大切にできる職場環境の実現に一石を投ずると思える。福祉事業ではない企業活動での障害者の活躍が尊い。(翔)