TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

大阪府医師会看護専門学校が閉校

府医ニュース

2022年4月20日 第2997号

地域医療に貢献 67年の歴史に幕

 大阪府医師会看護専門学校は3月2日に最後の卒業式を挙行した。在校生がおらず、送辞・答辞がない中で卒業生代表が3年間の学生生活を語った言葉に会場が感動に包まれ、75人の学生全員が卒業。昭和30年4月に大阪市南区(現・中央区)の日本基督教団島之内教会内で大阪府医師会附属准看護学院として創立以来67年の歴史に幕を閉じた。

1万9千人を超える看護師を全国へ輩出

 本校は半世紀にわたり、府民に良質な医療を提供するため、幾多の改革を行ってきた。昭和48年当時、大阪府の看護師および准看護師総数が全国平均を大きく下回っていたことから、大阪府衛生対策審議会において、大規模看護師養成校の建設が知事に提言され、府医や大阪府病院協会等に委託する方式が最も効率的であるとされた。これを受けて、大阪府・大阪市の支援の下、現在の校舎が建設され、51年3月に移転。52年4月に府医看護専門学校と改称するとともに、3年課程定時制を開設。一時の総定員は1550人という日本一の規模を持つ看護師養成校となった。
 その後、受験者の動向やカリキュラム改正等の影響を受け徐々に規模を縮小。平成17年3月に准看護科を閉科、さらに20年3月に看護第2科(2年課程定時制)を閉科し、最後は3年課程全日制の看護学科(看護第1科より名称変更)のみになったが、これまでの卒業生総数は1万9556人にも及ぶ。
 第310回府医臨時代議員会(平成30年3月)において、「令和4年3月末日をもって看護師養成事業を廃止し、平成31年度入学生(入学定員を160人から80人に減員)を最後に学生募集を停止の上、すべての在校生の卒業をもって、土地を所有者である大阪市に更地で返還すること」が承認された。公的補助金の削減・廃止、大学看護学部の増設による受験者数の減少、校舎の老朽化などの多くの問題を抱え苦渋の選択であった。一方で、新型コロナウイルス感染症の流行で看護師不足が露呈したことは言うまでもなく、残念に思う。
 本校卒業生は、大阪府内はもとより全国の医療機関で活躍し、地域医療に大いに貢献した。これまで学校運営を支え続けた会員・教職員をはじめ、実習施設や講師の先生方のご支援・ご協力の賜物であり、感謝を申し上げたい。今後も看護の原点を学んだ卒業生のさらなる活躍を祈る。

大阪府医師会担当理事
笠原 幹司