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医師・医療関係者のみなさまへ

大阪府受託事業 医療安全推進指導者講習会

府医ニュース

2021年12月29日 第2986号

医療事故防止に向け事故事例や対応策を示す

 大阪府医師会は、大阪府から「医療安全対策指導者育成・研修事業」を受託し、平成16年度より「医療安全推進指導者講習会」(協力:大阪府病院協会、大阪府私立病院協会、大阪府看護協会)を実施。医療機関における医療安全対策の推進役となる指導者の育成を通じて、府内の医療安全体制の向上を図っている。令和3年度の同講習会は新型コロナウイルス感染防止を考慮し、規模を縮小。3年11月から4年1月にかけて、全4日間の開催を予定している。
 11月20日午後の初回講習には、医師・薬剤師・看護師ら医療関係者約80人が参加。大平真司理事のあいさつに続き、村田博昭・府医医療安全推進委員会委員の座長により、楠本茂雅氏(生長会クオリティ・マネジメント本部長)が「医薬品の安全管理対策」と題して講演を行った。楠本氏はまず、医薬品にまつわる事故件数が一番多いことに言及し、医薬品の重複投与や濃度・分量の間違い、勤務交代時の引き継ぎミスなど、現場における様々な事例を紹介。事故を招いた原因と対応策を示し、重大事故につながらないよう求めた。その上で、指示に忠実に従う看護師は多く、医師には分かりやすい指示や表示を心がけてほしいと願った。
 また、現在の「正しく投与するための薬剤の確認事項」には、正しい▽患者▽時間▽薬物▽量▽用法――のほかに、正しい「目的」が加わると言明。いくら指示があっても、この患者に適切か否かを考え「あえて実施しない」ことも必要であると指摘。それには知識を持って患者の状況と薬効を照合し、判断しなければならないと説いた。一方、医師にもカルテ等に「処方する際の条件や注意事項」などをしっかり記載するよう協力を求めた。

医療事故調査制度の意義・概要を説明

 続いて、大平理事が「医療事故調査制度」を解説。本制度は医事紛争の解決ではなく、「医療の安全確保と質の向上」を目的としていると強調し、制度化までの経緯や制度の意義・概要を解説した。また、演習として、▽誤薬▽救急における誤診▽終末期の処置▽アナフィラキシーショック▽窒息事故――の事例を提示。本制度対象事案か否か、また再発防止策や「医師法21条による届け出」の是非などを解説し、参加者へ所属医療機関での伝達を依頼した。