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藤井寺市医師会主催 市民公開講座

府医ニュース

2021年12月1日 第2984号

おしっこの悩み「歳のせい」と諦めないで

 藤井寺市医師会(藤本恭平会長)は10月16日午後、同市で「人にはいえないおしっこの悩み」をテーマに市民公開講座を開催。台風や新型コロナウイルス感染症の影響による3度の延期を経て、2年越しの開催となった。
 今回は、参加者を通常の半数以下とし、完全予約制とするなど、新型コロナ対策を施した上で、市民約120人が参加。また、来賓として岡田一樹・藤井寺市長が出席した。
 当日は、竹口輝彦・同市医師会副会長が進行を務め、はじめに藤本会長があいさつ。60歳以上の約8割が悩みを抱えているといわれる「おしっこの問題」について、今回の講演で知識を深め、QOLの向上につなげてほしいと期待を込めた。
 一般講演では、南方良仁氏(なんぽう腎・泌尿器科クリニック院長)が登壇。「おしっこの悩み 出ない、近い、もれる――歳のせいとあきらめていませんか」と題し、排尿についての基本的な知識から、各種排尿障害の症状や原因となっている疾患を解説した。特に悩みの多くを占める前立腺肥大症については、事前検査の重要性を示し、薬物や外科的な治療を詳述。また、過活動膀胱を取り上げ、「排尿日誌」や「過活動膀胱症状質問票」などを用いながら分かりやすく説明した。
 更に、QOLに大きく関わる尿失禁(尿もれ)、夜間頻尿についても、症状の原因や治療法を説示。排尿障害はすぐに命に関わるようなものではないが、放置すると日常生活が著しく障害されると述べた。また、「重大な病気が潜んでいたり、寿命を縮めることにつながることもある」と言及。「歳のせい」と諦めず、かかりつけ医や専門医に相談してほしいと呼びかけた。
 引き続き、田中悦子氏(日本コンチネンス協会認定コンチネンスアドバイザー)が「あきらめるまえにできるケア」と題して特別講演。ゴムボールを使って、簡単に自宅でできる骨盤底筋体操を紹介した。同氏は、体操を継続し、筋力を維持することが重要であると説明。あわせて、最新の排泄用品を用いることで、負担の少ない生活を送ることができると語った。
 最後に、排泄ケアは「排泄物を片付ける」「オムツを換える」という単純な作業だけではなく、「人間の尊厳を守る基本的なケア」であることを忘れずに対応してほしいとした。
記事・写真提供
藤井寺市医師会