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医師・医療関係者のみなさまへ

関西医大で茂松会長が特別講義

府医ニュース

2021年12月1日 第2984号

医療制度と医師の役割を示す

 茂松茂人・大阪府医師会長は10月20日午後、関西医科大学に出向き、第2学年を対象とした「人間と社会A2」において特別講義を行った。今回は、「日本の医療制度と医師の業務」をテーマに、医師会の歴史や保険診療の仕組みなどを説明。125人の医学部生が受講した。
 講義に先立ち、友田幸一・同大学長は、本日の講義は「日本の医療制度や保険診療について学べる貴重な機会」と述べ、将来に役立ててもらえればと期待を寄せた。
 講義では、医師会設立までの歴史を振り返るとともに、「医師会の役割」と「医の倫理」に言及。「医療の根本は信頼」「医療は医学の社会的適用」と強調した上で、医師自らが国民に対して医師と医療の質保証に責任を負う体制構築が必要と語った。
 続いて、医療を取り巻く状況や日本の医療制度について解説。保険診療の基本として、健康保険法等における「保険医」「保険医療機関」の位置付けや関連する法令、診療報酬が支払われる条件などを説示した。また、保険診療の禁止事項を提示し、医師として活動する上で「知らなかったは通用しない」と注意を呼び掛けた。
 更に、日本の医療の特徴として、①国民皆保険制度②現物給付③フリーアクセス――などを列挙。OECD国際医療統計データを示し、「日本の保険医療は、低い医療費水準の中でも高い評価を獲得している」と主張した。一方で、今回の新型コロナウイルス感染症の流行を通して、有事における病床数の不足などの課題が見えたと指摘した。
 最後に、新型コロナに対するこれまでの府医の取り組みを紹介。▽対策本部の設置▽行政等への要望▽PCR検査・宿泊療養・ワクチン接種への出務▽自宅療養者への往診等のサポート――などを挙げた。また、第4波での医療の逼迫状況に触れ、第5波では往診体制の構築や受け入れ病床の確保に注力したと報告した。