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府医執行部が大病協・私病協と懇談

府医ニュース

2021年12月1日 第2984号

有事にオール大阪の体制で臨む

 大阪府医師会・大阪府病院協会(大病協/佐々木洋会長)・大阪府私立病院協会(私病協/生野弘道会長)による令和3年度合同懇談会が10月21日午後、大阪府病院年金会館で開催された。

第6波に備えて、抗体カクテル療法や3回目のワクチン接種への協力を求める

 今井康陽・大病協副会長が司会を務め、はじめに各団体の代表があいさつ。茂松茂人・府医会長は、新型コロナの第6波以降に備えて、自宅療養者への往診体制、診療所外来などでの抗体カクテル療法、3回目のワクチン接種などを進めると述べた。また、地域医療構想については「医療費抑制を図る国の施策から脱却が必要」と断言。病院協会と連携し地域医療を守っていきたいと協力を求めた。
 生野・私病協会長は、現在のコロナ禍はもとより、今後の地域医療構想、地域包括ケアシステムの推進には医師会と連携して地域を支える体制が重要であると述べた。佐々木・大病協会長は、第5波で混乱が無かったのは、「オール大阪」でコロナに立ち向かった成果だと力説した。現在、国立病院機構とJCHO(地域医療機能推進機構)には、一般病床の制限も視野に入れたコロナ病床の確保など厳しい目が向けられていると言及。力を合わせて医療現場の実情を国に訴えたいと語った。

抗体カクテル療法 後送体制への協力を

 懇談に入り、宮川松剛・府医理事が「新型コロナの第4・5波および第6波に備えた対応」を詳説。まず、第4波では軽症・中等症患者と重症患者を扱う病院間の連携体制が無かったとした。この反省を踏まえ、第5波では軽症・中等症病床への早期入院・治療を進め、重症病床の逼迫を回避したと振り返った。なお、第6波に備え大阪府が要請する「往診や診療所外来での抗体カクテル療法」は、病態悪化時の後送体制が義務付けされているとして、患者の受け入れに協力を求めた。更に、ワクチン接種の現状にも触れた。20~40代の2回目までのワクチン接種が進まず、9月末から希望者が激減したことを問題視。一方で3回目の接種が、12月から市町村事業として開始されると説明した。

令和2年度医業利益率 病院は過去最低の水準

 続いて、加納繁照・私病協副会長が、令和2年度の病院の経営状況についてWAM(福祉医療機構)のリサーチレポートを基に報告。「医業利益率」は一般・療養型・精神科病院のいずれも過去最低の水準となり、特に一般病院では医業利益率がマイナスへ転落したと説示。ただし、コロナ関連の各種補助金を含めた「経常利益」は、概ね前年度並みの水準と推測されるとした。
 引き続き「今後の感染症発生」に対して、▽宿泊療養施設の出務医師・院外処方・事務スタッフなどのシステム整備▽公立・公的病院の在り方▽医療計画・地域医療構想における感染症を踏まえた医師や病床体制▽地域包括ケアシステムにおける日常生活圏域と二次医療圏の医療対応▽入院フォローアップセンターを通じた入院調整の問題点――について意見交換が行われた。
 最後に、木野昌也・大病協副会長は、有事の今だからこそ、医師会と病院協会が意見を交わし、行政に提案できる体制を作っていきたいと締めくくった。