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府医ニュース

2021年5月19日 第2964号

 衆院厚生労働委員会は5月7日、一定の収入がある75歳以上の医療費窓口負担を1割から2割に引き上げる医療制度改革関連法案について、自民、公明両党などの賛成多数で可決した。また、国債や借入金などを合わせた、いわゆる〝国の借金〟は、今年3月末の時点で1216兆円余りと、5年連続で過去最大を更新。新型コロナウイルスへの対応などで、この1年では初めて100兆円を超える増加となった。
 国の借金(財政支出)が多いので、増税も窓口負担2割も仕方がないという方が大部分だと思うが、それは間違いである。以前も触れたが、国の借金というものは国民が借金を背負っているわけではなく、いわゆる政府支出から税収を引いた額である。国の借金が過大になるとハイパーインフレを多くの人が懸念する。しかし、この30年インターネットの発達により従来の商取引にICT関連の労働的手間が多重に増えていることを考えれば、国内に流通する血液であるマネーストックが圧倒的に足りないことは明らかである。
 商取引の規模や日常生活にかかるコストが増加すれば、それだけ多くの血液(紙幣)が必要となる。だが、金利がゼロ、少子高齢化のはずなのに、若者の低賃金は依然持続している。実態経済のどこにお金が余っているのだろうか。政府支出と民間所得には相関関係があり、政府が借金をすると民間の所得が増えている事実もあるのに。
 現在多くの医療関係者がコロナの最前線で必死に頑張っていると思うが、国が本気で医療者のみならず、全国民を救うには、給付金の継続と平等に課税されている消費税の減税を訴えるべきだ。窓口負担2割などもってのほかである。当方は、コロナ禍の前から現在の日本が不況かつ衰退途上であることを訴えていたが、再度、より多くの新規国債などで自国民を救うことを訴えたい。(終)
(真)