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医師・医療関係者のみなさまへ

本日休診

セクシャルハラスメント

府医ニュース

2021年4月21日 第2961号

 数年前、当院外来で70代男性患者が若手看護師の身体を触るという事件があった。数日してからの報告であったため、その看護師がこの患者と接触する機会を防ぐという対策と「暴力・セクハラ・迷惑行為」に反対表明の院内掲示を行うこととした。
 その半年後、当該患者による別のベテラン看護師に対するセクハラ事件が発生した。彼女がその場で注意をしたが認めず。院長である私が注意したところ、手が当たってしまったが今後は気をつけるという表明を彼はした。
 後日、痴漢行為の常習性があるため信頼関係を築けないことを彼に宣言し終診とした。長年通院していた彼は当方の激しい抗議に荒れたが、結局は大人しく帰宅した。ベテラン看護師はこの対応をやり過ぎと捉えたが、一方で若手看護師は、2回目のハラスメント行為が発生したことにショックを受け、数カ月間、出勤と欠勤を繰り返すようになった……。
 令和3年度介護報酬改定ではハラスメント対策もポイントになっていると報じられた。利用者がハラスメントの被害者になるケースもあれば、介護職員が被害者になるケースもある。更には、セクハラ、パワハラ、妊娠・出産・育児、介護休業などへのあらゆるハラスメントに対策を講じることが事業主に求められている。
 特にセクハラについては、2020年から男女雇用機会均等法において事業主に対して義務付けている雇用管理上の措置義務の対象に含まれることとされた。医療機関も働く人々のために対策を講じる必要がある。
 当院のように、ハラスメントによりトラウマとなり何かの拍子にこのような二次被害が起こることもある。ハラスメントはどこにでも起き得る問題であり、これらは決して、個人の資質で片付けてよいものではない。社会的病理としてハラスメントを捉えるべきだと考える。
(真)