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大阪府・大阪市へ令和3年度予算要望

府医ニュース

2020年9月16日 第2940号

新興感染症に対応する施策を

 大阪府医師会と大阪府地域医療推進協議会(地推協)は、8月19日に大阪市役所、また8月24日には大阪府庁を訪れ、それぞれ令和3年度予算編成に関する要望書を手交。医療提供体制における諸施策の充実を要請した。

大阪市への要望 保健所機能および連携体制の強化

 大阪市への予算要望では、茂松茂人会長、中尾正俊・加納康至副会長、宮川松剛理事のほか、中川浩彰・大阪市医師会連合会長が大阪市役所を訪れ、山本剛史副市長ら市幹部と懇談。冒頭、茂松会長が要望書を松井一郎・大阪市長(山本副市長が代理)に手交した。
 茂松会長はあいさつで、高齢者施設で新型コロナウイルス感染症のクラスターが多発し重症患者の増加につながっている現状を危険視。感染症に対応できる病床確保など余裕のある医療提供体制の構築が必要と断じた。また保健所機能の拡充を早急に行うべきと力を込めた。
 続いて、中尾副会長が要望書の概要を説明。健康施策の充実を求める要望は24項目に及んだ。特に今回は、新型コロナなど新興感染症発生にも対応できる地域保健医療の充実と展開を強く要請。更に、▽糖尿病性腎症重症化予防も踏まえた特定健診・特定保健指導の充実▽認知症施策や在宅医療の充実など高齢者対策・介護保険の運営▽保健所機能の拡充と感染症に対する危機管理▽成育基本法を踏まえた母子保健・医療面からの支援策の拡充――など多岐にわたり詳説した。また、中川市医連会長は、新型コロナに係る保健所の対応に、不適切な事例が見受けられると問題視。保健所の機能強化や地域外来・検査センターとの密な連携体制を切望した。これらを踏まえ、山本副市長は、来年度予算編成に向け、関係部局と施策を充分に図っていくと述べた。

大阪府への要望 感染症禍における保健医療計画の改善

 後日に行われた大阪府への予算要望では、茂松会長、中尾・高井康之・加納副会長が大阪府庁を訪問。茂松会長が要望書を吉村洋文・大阪府知事(山野謙副知事が代理)に手渡した。茂松会長は、2025年の大阪万博への体制を整える中で、健康指標改善に向け「世界に誇れる保健・医療・福祉施策の実現」に期待を込めた。
 続けて、中尾副会長から、新型コロナ対策を中心とした30項目にわたる要望書の趣旨を提示。▽大阪府医療計画の推進▽高齢者対策・介護保険の運営▽感染症対策に関する危機管理▽教育庁関係事項――などの要望を行った。
 山野副知事からは、まずPCR検査や宿泊療養施設での医療提供など様々な医師会の協力に感謝の意が述べられた。また、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」が新型コロナに適用できない問題について、大阪府もその改正を政府に強く要請してきたと言及。今後も長期化する感染への対応に、引き続き支援を求めた。

地推協の団体代表者も次年度予算を要望

 両日とも、府医からの予算要望の終了後に、府・市幹部職員と大阪府地域医療推進協議会(協議会長=茂松・府医会長)による懇談を実施。加盟団体の代表が次年度予算編成への要望を伝えた。