TO DOCTOR
医師・医療関係者のみなさまへ

第143回エイジレス健康講座

府医ニュース

2020年8月26日 第2938号

認知症支援の在り方をアドバイス

 大阪府医師会・ATCエイジレスセンター実行委員会が主催する第143回「エイジレス健康講座」が7月18日午後、同センターで開かれた。今回は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から定員を減らして開催。様々な感染防止対策が施される中、府民ら15人が聴講した。
 当日は、大阪精神科診療所協会からの推薦を受け、松田泰範氏(鶴橋メンタルクリニック院長)が「これって認知症?――認知症の『なんで』をやさしく解説」と題して講演。認知症の予防や治療のほか、ケアのポイントなどを解説した。
 はじめに、認知症高齢者数の現状を説示。2012年は約462万人とされているが、25年には「700万人を超えると推計される」と述べた。その上で、介護人材不足による高齢者施設のサービス低下などの課題を挙げ「今後は在宅介護の推進が重要」との見方を示した。
 続いて、認知症とMCI(軽度認知障害)について説明。両者の大きな違いは日常生活動作とし、「MCIではほぼ正常」と加えた。また、年間で約10%が認知症に進展しているものの、可逆例もあるとして早期受診を促した。あわせて認知症の中核症状やBPSD(行動・心理症状)に言及。介護する家族のQOLを低下させ、入院・入所の要因になりやすい症状として、▽幻覚▽妄想▽不安・焦燥▽暴言・暴力――などを挙げた。
 次に、認知症予防に言及。最大の危険因子は加齢で避けられないとする一方、生活習慣病の治療・予防や運動習慣を継続することが大切だと述べた。また、認知症の原因となる代表的疾患として、①アルツハイマー型認知症②脳血管性認知症③レビー小体型認知症④前頭側頭型認知症――の特徴や診断法などを詳説。治療の観点からも鑑別の重要性を強調し、症状に気付いた段階で医療機関を受診するよう求めた。更に、アルツハイマー型認知症の方へのケアのポイントを提示。自尊心を損なわないように接し、本人が7~8割方成功できるよう余裕のある範囲で見守ってほしいと述べた。
 最後に認知症の対応や支援の在り方において、患者本位のケアが肝要とアドバイス。あわせて、専門職と地域が「チームで関わることが大切」と結んだ。