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時事

保険料率の格差はこれで良いのか

府医ニュース

2020年7月1日 第2933号

健康保険統合の必要性

 本紙第2930号の本欄で、中小企業が加入する協会けんぽの保険料率について、最低9・58%から最高10・73%と、都道府県ごとの格差(平均10・00%)があることを報告したが、今回は組合健保の会社別保険料率を検討した。
 大企業が自社で健康保険組合を設立して、単独で運営している「単独型」(社員700人以上が条件)と、条件に満たない同業種の企業が集まって設立した「総合型」の組合健保があり、保険料率を独自に決めることができる。保険料の負担割合も協会けんぽでは労使折半(労働者50%:事業主50%)であるが、組合健保では独自に決定できる。以上の結果より、大企業と中小企業の間に大きな格差が生じている。
 まず、調査可能であった112の「単独型」健康保険組合の保険料率の最低は6・00%で、6%台2組合、7%台13組合、8%台46組合、9%台42組合、10%台8組合で、最高は唯一11%以上の1組合(11・40%)であり、9割以上の組合の保険料率は10%未満であった。更に個人負担率を見ると保険料率6%の組合の1・5%を最低に2%台7組合、3%台64組合、4%台38組合で、5%以上は5%と5・35%の2組合のみであった。保険料率が最高の11・40%であった組合の個人負担率は4・450%、会社負担率は6・950%であり、大企業社員の優遇と大企業の高い負担能力が示されている。
 52の「総合型」健康保険組合では、最低は8・50%、最高は10・50%であり、個人負担率は4・10%から5・25%であったが、個人負担率が5・00%を超えるのは4組合であった。健康保険組合連合会の発表によると平均保険料率9・21%で、労使折半とすると個人負担は約4・6%となるが、個人負担の保険料率は協会けんぽに比べてかなり低いのみならず、組合の中でも大きな格差があることが分かる。
 また、保険料率を公表していない健保組合が銀行等の金融機関、放送業界、外資系会社など多数あり、堂々と公表すべきではないだろうか。
 なお、参考までに共済組合の健康保険料率(短期給付掛金率と呼ぶ)を示すと、個人負担掛金率は文部科学省共済4・047%、公立学校共済4・210%、日本郵政共済4・410%、私学共済4・410%である。また、市町村職員共済組合の個人負担掛金率は、大阪府は4・850%であり、公務員より大企業の方が個人負担率が低い傾向が認められた。
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