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時の話題

地域の医療提供体制の現状

府医ニュース

2020年6月17日 第2931号

日医総研ワーキングペーパー(№443)から

 4月2日、日医総研は「地域の医療提供体制の現状―都道府県別・二次医療圏別データ集―」と題するワーキングペーパー(WP)を公表した。医療・介護資源の客観的なデータ提供を都道府県単位・二次医療圏単位に行うことを目的とし、全国の医療施設、医療従事者、在宅医療等に関わる医療資源の直近のデータを共通の指標で示したものである。
 2012年に第1版が公表され、今回は第8版となる。WPの詳細は日本医師会ホームページを参照いただくとして、以下に大阪府についての概要を示す。なお、WPでは各都道府県の人口当たりの相対的な位置付けを知るために偏差値を示している。
 15年の大阪府の総人口は、約883万9千人であるが、25年に852万6千人、40年には764万9千人へと減少。一方、75歳以上人口は、15年の105万人が、25年にかけて150万7千人へと増加した後、40年には143万3千人へと減少すると予想されている。
 一人当たりの医療費(国保)は、36万4千円(偏差値52)、介護給付費は27万2千円(55)であり、医療費は全国平均レベルであるが、介護給付費はやや高い。総高齢者施設・住宅定員数(介護療養病床を含む)合計は、11万1709人(51)と全国平均レベルである。そのうち、介護保険施設は、全国平均レベルを下回るが、高齢者住宅等は全国平均レベルを上回る。
 また、介護職員(介護施設等)の合計は7万3865人(42)で、全国平均レベルを下回っている。施設別の偏差値は、老人保健施設45、特別養護老人ホーム46、介護療養型医療施設45、有料老人ホーム52、軽費ホーム49、グループホーム46、サ高住64である。在宅療養支援診療所は、偏差値68と非常に高く、在宅療養支援病院は偏差値54とやや高い。訪問看護ステーションは偏差値63と高い。
 介護職員(在宅)の合計は、2万9827人(78)で、全国平均レベルを大きく上回る。しかし、25年の介護充足度指数はマイナス41%であり、25年に現在の全国平均レベルの高齢者施設・住宅の定員を確保するには、今後、多くの高齢者施設・住宅の増設、あるいは相当する住宅のインフラ整備が必要であると指摘。医療需要は、05年から15年に17%増加し、15年から25年にかけて5%程度の増加が予想される。
 04年の病院数は555(48)であったが、18年には517(48)となり、14年間で38病院が減少した。04年の診療所数は、8118(58)であったが、18年には8481(58)と増加。人口当たりの診療所数の偏差値は58と高い。
 04年の総病床数は、11万6330床(48)であったが、18年には10万8290床(49)と、8040床の減少、率にして7%減少(全国平均9%減少)した。
 04年の病院と診療所を合わせた総医師数は、2万1563人(54)であったが、18年には2万4414人(53)と2851人増加、率にして13%の増加(全国平均15%増加)であった。
 このように、現在、高齢者人口が増加している大阪府では、在宅療養支援診療所・病院、訪問看護ステーション、在宅の介護職員数など、在宅における医療・介護資源は、全国平均を上回っているが、高齢者施設については、介護保険施設の定員が少なく、高齢者住宅等が多い傾向がある。WPでは、25年における介護の需要予測から、更なる高齢者施設・住宅の整備が必要であると指摘している。